ルノーは2021年3月24日、2020年11月に事前発表された新型ルノーカングーの商用バンをフランス国内において2021年4月1日から受注開始すると発表。
続いて、2021年3月30日、乗用ワゴン仕様のカングーもフランス国内において2021年4月1日から受注を開始し、6月1日から発売すると発表した。いずれも欧州やそのほかの地域については6月から発売する予定。
さて、新型カングーはどのように進化したのだろうか? 日本車ミニバンの脅威となるのか? バンと乗車ワゴン仕様の2タイプの新型カングーをみていきたいと思う。
文/岩尾信哉
写真/ルノー
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仕事グルマの進化形
初代のカングーは1997年に発表、累計販売台数は400万台以上を数える。2代目の現行型カングーは2007年に登場(日本市場への導入は2009年9月)。2011/2013年の2度のマイナーチェンジを経ておよそ13年ぶりに今回のモデルチェンジを受けて、3世代目となった。
エクステリアはどこか愛嬌のある顔付き人気の源だったが、新型はC字型シェイプのLEDヘッドライトやグリルの大きい、いかにも最近のルノーらしいデザインとなった。細かいところを見ていくと、塊感のある筋肉質な造形で、クオリティの高さを感じる。
今回初めて明らかにされたボディサイズだが、新型カングーの5人乗り乗用ワゴン仕様が全長4486×全幅1919×全高1838mm(ルーフレールありは1893mm)、ホイールベースは2716mm。
現行カングーの乗用ワゴン欧州仕様は全長4213×全幅1829×全高1809mm、ホイールベースは2697mmだから、現行に比べ新型は全長が273mm、全幅が90mm広く、全高が29mm高くなった。
う~ん、驚くのは全幅が1919mmになったこと。思わずスペック表を二度見したほど全幅の拡大ぶりに驚かされた。日本では全幅がワイドすぎて、使いづらいのではないだろうか。
両側スライドドアは現行カングーから踏襲し、615mmの開口部を誇る。フロントドアは90度開閉するので、前席。後席ともに乗り降りが非常にしやすくなった。
ただし、リアゲートは観音開きがウリの一つにもなっていたが、新型カングーではオーソドックスな跳ね上げ式となった。なお、カングーバンには観音開きが残るようだ。
現在まで明らかになっているのは5人乗り仕様のみ。5人乗り仕様のラゲッジ容量は通常の状態で775L、後席や助手席を畳んだ最大の状態で3500Lまで拡大する。長尺物は、通常の状態で1.03m、後席を畳んだ状態で1.88m、助手席を畳むと2.7mまで積載可能だ。
また新型カングーの特徴の1つともいえるのが、工具を使わずラッチを外すだけでルーフの位置を変えることができるルーフバーで、最大80kgまで積載可能。
センターピラーレスのスライドドアが魅力的なカングーバン
新型カングーのバリエーションを見ていくと、乗用ワゴン仕様のカングー、商用仕様のカングーバン、乗用ハイルーフ仕様のエキスプレス、商用ハイルーフ仕様であるエキスプレスバンの4タイプが用意される。
ここで、新型カングーバンを見ていこう。カングーバンの標準仕様は全長4486×全幅1860×全高1808mm、ホイールベースは2716mm。カングーバンでは2種類の全長が用意され、シートの設定によって2、3、5名の乗車定員の仕様が設定されている。
なにより見逃せないカングーバンに独自に採用された機能が、助手席側のセンターピラーレス機構だ。ルノーがオープンセサミ(日本語では“開けゴマ”)機能は、助手席側サイドボディをセンターピラーレスとしたシステムを採用する。
同様の設定としては、日本車では軽自動車のホンダN-VANがセンターピラーレスボディ+スライドドアを採用していることが挙げられる。他にはダイハツタントの例があるが、両者では商用と常用の仕様の違いでコンセプトが明確に異なる。