ついにトヨタ新型燃料電池バス「SORA」デビュー!! どこがすごいの??

■今回の「SORA」はどこがすごいのか?

 トヨタから発売されている乗用車に、おなじ燃料(水素)電池を使ったEV「MIRAI」が発売され、世界中が驚いたが、バスは場合、それをそのまま大きくすればいい、というものではないことは、内燃機関を使った従来の自動車/バスとの関係と同じだ。

 走行に必要なトルクはモーターが発生するためわかりやすいが、問題は車体。

 バスは数少ない“立っている人も乗っている自動車”だ。つまり、乗用車よりもはるかに少ない挙動で動くことが要求され、しかも「SORA」はほぼフルサイズの大型車というスケールだ。

室内。バスは乗客が立ったまま乗るため車内振動の抑制がよりシビアになる
室内。バスは乗客が立ったまま乗るため車内振動の抑制がよりシビアになる

 バスのボディは多くの乗用車のような全体を全体で支えるモノコックではなく、シャシーに柱を立ててその間をパネル(梁)で埋めるスケルトンという構造だ。このボディ、やたらと頑丈だが重心が高い、という特徴がある。

 なので、現在のほかの大型路線バスのように、地上最低高の低いノンステップ床なのは功を奏しているが、16tという路線バスにはあるまじきGVW(車両総重量/既存のバスは12t以下と14t以下がほとんど)であり、さらに重いバッテリーをルーフに載せながら、立ち乗車客が安定して乗っていられる点は、バスの性能としてすごすぎる。

 もちろん、水素を燃料としたEVであること。これを2020年までに100台納車するという体制と技術力。そして満充填で100㎞の営業運行が可能なことなどが凄いというのは言うまでもないことだ。

 ただ、バスという目線で見ると、見た目はブルーリボンやエアロスターと同じサイズでありながら、GVWが16tであることと、にも関わらずバスとしての走行安定性の高さに凄さを感じた。

 それともうひとつ、実験車両では充電式EVのバスはすでに珍しくはないが、内燃機関エンジンから完全に離脱したバスが型式認証を取得したということも驚きのニュース。これも超すごいことだといえる。

■乗り心地はどうだったか?

 今回の体験試乗は都心部を10分程度、ひと回りというコースで行われた。

 プロトタイプの[トヨタFCバス]は運転試乗もさせていただけたが、今回は客席のみの試乗。せっかくなので最後尾で騒音チェックをと思ったが、エンジンがないので静かなのは当然のため、ホイールベースの間、ノンステップ床からステップが始まる席を選んだ。

 この床下には、走行のための機器や仕掛けが密集しているはずで、インバーター音に代表される通電系ノイズや、フリクション音を聞こえれば、と目論んだためだ。

 時間となって試乗開始。

 筆者のほかには40人ほどの体験者と関係者が乗車しており、なかなか賑やかな状態だったが、バスからの音は発進時の急旋回によるステアリングポンプのビビり音とタイヤノイズだけしかし感じられなかった。

今回試乗を担当してくれた『バスマガジン』の末永編集長
今回試乗を担当してくれた『バスマガジン』の末永編集長。運転席にも座らせてもらいました

 路線バスといえば、小排気量化が進む中とはいえ、5~7L級の大きなエンジンが吹ける音と振動が最も現れる発進時に、何の障りもなく動き出した状態は、快適さを通り越してキモチワルイほど。

 続く巡航は上り坂。EVのパワーでスルスル加速していくさまは、「あ、このバス、速いな!!」と感じる。

 現在のバスのATはとても優秀で、変速のショックをいっさい感じさせないが、それでもエンジンの振動と音で変速を知ることは容易だが、当然それもないEVでは、そのスムーズな加速っぷりをことさらに感じることができた。

 バスにとって車両全体に大きなストレスがかかるのが左折だ。

 左回りに四角く周回した「SORA」は、帰着時を含めると6回の左折をしたことになるが、前述のように懸念のあったGVW16tというボディのロールやきしみ、肘を付けていた内壁のゆがみや“押され感”などはいっさいなかった。

 試乗いうことで、低速走行だったということもあるだろうが、路線バスの表定速度はせいぜい時速10㎞程度。特に都市部で時速40㎞を超える走行はほとんど無いほどだ。なので、心配していた GVW16tというデータはその完成度の高さから杞憂だったことがわかった。

次ページは : ■バスの近未来とSORAが果たす役割は?

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