■VW初のふたつの運転支援機能を採用
すでに先進の運転支援機能の充実が図られていたパサートだが、今回のマイナーチェンジでは、二つの新機能の採用が大きなトピックとなる。ひとつめの機能が同一車線内全車速運転支援システム「Travel Assist(トラベルアシスト)」だ。
従来の渋滞時追従支援システム「Traffic Assist(トラフィックアシスト)」を進化させたもので、ドライバーがあらかじめ設定した車速内において前走車との車間及び走行レーンの維持をサポート。対応車速も、0-210km/hと幅広いので、高速道路などの長距離運転中の疲労軽減に大きな効果を発揮する。
もうひとつが「IQ.LIGHT(アイキューライト)」で、細やかな配光が可能なLEDマトリックスヘッドライトの制御にフロントカメラを活用したもの。フロントカメラで対向車や先行車を検知し、最適な配光制御をおこなう。いずれの機能も全車に標準化されている。
■パワーユニットは2種類に厳選
パワーユニットは、2種類に厳選された。ガソリンエンジンは、従来の1.4L TSIから最新世代の1.5L TSI EVOエンジンに換装。スペックは、最高出力150ps、最大トルク250Nmと従来同様。新エンジンにも効率を高める気筒休止機能が継承される。
上級グレードに採用される高出力エンジンは、クリーンディーゼルに一本化。引き続き、2.0L TDIが搭載される。こちらも最高出力190ps、最大トルク400Nmの性能に変更はない。
ただトランスミッションは、ガソリン車とクリーンディーゼル車ともに、DCTタイプの7速DSGに換装。1速ギアが追加されたことで、より効率とレスポンスに優れた走りが期待される。
■シリーズは全11モデルの展開に
新パサートシリーズは、モデルラインも刷新。セダンが4タイプ、ステーションワゴン「ヴァリアント」が5タイプ、クロスオーバーワゴン「オールトラック」が2タイプとなる。
セダンは、ベースとなる「エレガンス」とナビ機能を持つ「Discover Pro」などの装備のアップデートを図った「エレガンス アドバンス」を設定。それぞれに、ガソリン車とクリーンディーゼル車が用意される。
ステーションワゴン「ヴァリアント」もセダン同様に、「エレガンス」と「エレガンス アドバンス」のエンジン違いの4タイプを用意するが、セダンにはないスポーティデザインの「Rライン」も用意される。スポーティな内外装に加え、19インチホイールとダンパーの減衰力調整が可能な「DCC」も備えるのが特徴。
従来型Rラインは、セダンとヴァリアントにそれぞれ設定されていたこともあるが、マイナーチェンジモデルでは、ヴァリアントに一本化。さらにエンジンもガソリン仕様の2.0Lターボから、クリーンディーゼル仕様の2.0Lターボに変更されている。
パサートシリーズ唯一の4WD車となるクロスオーバーワゴン「オールトラック」は、従来型同様に2.0Lクリーンディーゼルターボのみ。モデルラインは、「ベース」と「アドバンス」の2種類が用意される。
いずれも装備は充実するが、ベースグレードでは、レザーシート、ダンパー制御のDCC、電子デフのXDS、ヘッドアップディスプレイ、駐車支援システムなどの機能が省かれる。
現時点では、PHEVである「GTE」が非設定となったこともあり、かなりわかりやすいモデルラインとなった。VWラインアップでは、SUVラインの強化もあり、全般的にカジュアルなイメージが強まっている。
その点パサートは、従来のちょっといい輸入車路線とデジタルなワーゲンの両面を持ち合わせるのが大きな強みとなる。ギラギラした輸入車が増えるなか、質実剛健さを魅力とするパサートのシブさは武器となるはずだ。
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