2021年10月14日、レクサスから新型LXに関する情報が発表された。次世代レクサスを担う第二弾モデルとして、2022年に登場する。
2021年8月にはトヨタからランドクルーザー300が登場し、大きな話題となった。同じようにも思えるランクル300と新型レクサス LXは、いったい何が違うのだろうか。メーカーの発表内容やディーラーへの取材から判明した情報等から、両車に価格差ほどの違いがあるのか、LXの魅力はどこにあるのかを解説していく。
文/佐々木亘、写真/LEXUS、TOYOTA
■主戦場はオンロード! 新型LXはより優雅に、より快適に現行型から進化を遂げる
LX570が日本市場に導入されたのは2015年だ。3列シート8人乗り・2列シート5人乗りという仕様の違いはあるが、グレードは1種類で、車両本体価格は1135万6481円と、国産SUVでは群を抜いて高額なクルマである。
LXはランドクルーザーのレクサス版、ランクルのエンブレムと外装を変えただけと揶揄されることもあるが、筆者はLXに対して、ランクルと大きくコンセプトを変えた、まったく別のクルマだと思っている。もちろんランクル同様に、充分な悪路走破性能はあるが、LXの主戦場はあくまでオンロードだと思う。悪路も舗装路も優雅に快適に走れるというのが、LXの最大にして最高の特徴と言えるだろう。
人間の移動範囲を無限に広げていくのがランドクルーザーなら、その移動に無限の快適性を加えたクルマがLXだ。新型では、LXとランクルの違いを、さらに明確なものとしていると感じる。
■ランクルとの違いは足回りにあり! 価格差ほどの価値はあるのか
発表されたプレスリリースや、取材から判明している、LXとランクル300の違いを見ていこう。
プラットフォームやボディフレーム、パワートレインなどに関しては、ランクル300とほぼ同様のものが使われる。プレスリリースでは、ガソリンエンジンにしか触れていないが、ランクル300同様のディーゼルターボエンジンも用意されるだろう。
サイドレールやクロスメンバーの成形には、曲線テーラード・ウエルドブランク(板厚・材質が異なる鋼板をレーザー溶接等で接合し、曲線でプレス加工する技術)を採用する。強度と剛性を維持したまま、軽量化につなげる重要な工法だ。
また、LXとランクルを差別化する足回りには、従来型でも高評価だったアクティブハイトコントロールサスペンション(AHC)とアダプティブ・バリアブル・サスペンションシステム(AVS)を採用する。走行中の車高ポジションとショックアブソーバーの減衰力変化の幅を拡大し、エンジン停止で車高を最も低い位置まで下げる「乗降モード」も、もちろん継続搭載だ。
また、オンロードでの走行性能を高めるため、新規に22インチタイヤを採用した。オフロードはもちろんだが、舗装路面での操縦安定性や制動性能を高めているのもLXの特色と言えるだろう。
インテリアにはデュアルディスプレイの採用、クルマとドライバーが直感的につながり、運転に集中できるコクピット思想であるTazuna Conceptを取り入れるなど、目に見える部分から感覚的に感じる部分まで、手の込んだ作りとなっている。
グレード体系は見直され、新型では3グレード(標準・EXECTIVE・OFFROAD)となるようだ。
「EXECTIVE」は後席空間の拡充と、くつろぎに重点を置く。最大レッグスペース1000mmのくつろぎ空間を創出し、独立したキャプテンシートが悪路でも快適な移動を提供する。室内高がある分、LS500hのEXECTIVEよりも、快適な車内空間が広がっているかもしれない。
「OFFROAD」は新型LXにおけるF SPORT的な存在となるだろう。ランクルでいうとGR SPORTに近い。フロント・センター・リアの3つのデフロックを標準装備し、偏平率の高い18インチタイヤが、悪路での路面追従性を高めている。
相応にLXの方が、快適さや優雅さを緻密に計算した装備が奢られる。しかし、目に見える装備以上に両車の差を感じるのが、実際に車内に乗り込み、エンジンをかけ、タイヤをひと転がしした瞬間であろう。
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