まさに売れ線、「カッコよく、軽くて乗りやすい」
スタイルがクラシカル路線なのもトピックだ。先行発売されたスポーツスターSは近未来的なスポーツ路線だったが、ナイトスターは伝統のピーナッツ型タンクやリヤ2本サス、ダウンマフラーなど従来の空冷シリーズに連なるデザイン。エンジンなどに既存の空冷とは異なるモダンさを感じさせるが、スポーツスターの正統後継モデルと言える。
野田社長も「凄くかっこいいと自負しています。そして非常に軽くて乗りやすい」と太鼓判を押す。
エンジンをフレームの一部として活用する構造により車重は221kgを達成。空冷のアイアン883が256kgだったのに対し、35kgもの減量に成功している。スポーツスターSと比べても4kg軽量だ。さらに通常の燃料タンク位置にあるのはダミーで、シート下に燃料タンクを搭載。低重心化を促し、引き起こしや取り回しも非常に軽い。
身長164cmの女性でも両足がかかとまで接地する足着き性
足着きも優秀だ。昨年12月5日に発表され、「20分で完売した」(野田社長)空冷の「フォーティーエイト ファイナルエディション」はシート高710mmで足着き性は抜群だったが、ナイトスターはこれを下回る705mm。身長164cmの女性ライダーがまたがっても、両足がしっかり接地する。
ABSはもちろん、3パターンの走行モードやトラクションコントロール、過度のエンジンブレーキを抑えるドラッグトルクスリップコントロールシステムなどの電子制御によるサポート機能も充実。過去のシンプルな空冷スポーツスターに対し、機能充実で扱いやすさを追求している。
「今年はまだ隠し球がある」としつつも、新たな水冷3機種が揃ったことで「これが新製品の第一章。新時代の幕開け」と野田社長は話す。
日本市場に入荷するナイトスターはスポスタSと同じ1000台
プレゼン後、野田社長に直接話を伺うことができた。野田社長は2020年12月、HDJの社長に就任。10年ぶりの日本人社長で、前職ではトライアンフモーターサイクルズジャパン代表を務めていた。
好調の要因は、「2020年から就任した米国本社の新CEOが打ち出した販売戦略“ハードワイヤー”によるものが大きい」と話す。新CEOは、スポーツ用品大手のプーマのCEOだったヨッヘン・ツァイツ氏。ハードワイヤーは、販売が低迷していたハーレーを再建すべく6本の柱から成り、ニューモデルの好調も販売戦略の影響があるという。
「戦略に沿って、商品のよさを伝える売り方に変えたり、接客を向上した。販売好調はこれらの相乗効果もある」(野田社長)。
なおパンアメリカは274万5600円~と高額にも関わらず、昨年は国内で520台を販売。スポーツスターSは1000台を受注、そしてナイトスターは1000台が入荷するという。ナイトスターはSより車両価格が5万9400円安く、現行ラインナップではソフテイルスタンダードの187万円に次いで安価。争奪戦となりそうだ。
最後に、気になるネイキッドや400ccの投入についても質問してみた
今後の戦略に関しては「ハーレーの新しい部分をしっかりお客様に届けたい。モーターサイクルショーでパンアメリカを展示しましたが、存在を知らずに驚いていた方もまだまだいらっしゃいました。一方で、新しいけど変わらない部分もある。ハーレーがどんどん面白くなってきていることを伝えたい」と語る。
今年はイベントも積極的に行う方針だ。「HOGツーリングやブルースカイヘブンを検討中。よほどのことがない限り開催したい。新しいハーレーを知ってもらうのが戦略の一つ。それができれば自ずと実績は伸びていくと考えています」と野田社長。
今後の展開と言えば、近い将来の発売予定モデルも気になるところだ。2019年秋に発表さた水冷1250ccのスポーツネイキッド「ブロンクス」について尋ねると、ライバルが多いジャンルだけに動向を見ている状態という。
また、アンダー400ccモデルの投入も噂されていたが、「様々な案は検討しています。日本市場の声を集めながら、本社にフィードバックしたい」と回答してくれた。
――ナイトスターの1000台に、空冷ファイナルの1300台が加われば、2022年におけるHDJのセールスは大幅に伸長するはず。バブル期を越える可能性もあるか。正直、ナイトスターの国内入荷台数をもっと増やして欲しいところだが、マーケットは世界に広がっており難しいようだ。
いずれにせよ、野田社長も太鼓判を押すナイトスターの軽快な走りを早く体感したいものだ。
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