新型CX-60は人馬一体SUV マツダ史上最強のSUVは驚きの連続だった!

■デザイナーがこだわりぬいたインテリア

全てのメーターをTFT液晶画面とし、センターディスプレイについては12.3インチの大型ディスプレイを用意。アクティブ・ドライビング・ディスプレイは表示面積を従来比3倍に拡大。メーターは全面グラフィック表示ができる12.3 インチとし、ドライバーに提供する情報を表示できる領域を拡大
全てのメーターをTFT液晶画面とし、センターディスプレイについては12.3インチの大型ディスプレイを用意。アクティブ・ドライビング・ディスプレイは表示面積を従来比3倍に拡大。メーターは全面グラフィック表示ができる12.3 インチとし、ドライバーに提供する情報を表示できる領域を拡大

 インパネは水平基調で、メーターの視認性は優れている。左端のエアコンスイッチには、少し手が届きにくいが、操作性に不満を感じるほどではない。

 注意したいのは、インパネの造りがグレードによって大きく異なることだ。最上級のプレミアムモダンやプレミアムスポーツは、ステッチ(縫い目)の入れ方も含めて繊細に造り込んだ。一方、ベーシックなSパッケージになると、インパネが硬い樹脂になる。

プレミアムモダンのインテリア。ルーセントクロスのダッシュボードに注目。まるでモダンな和室にいる感覚で心が落ち着く印象
プレミアムモダンのインテリア。ルーセントクロスのダッシュボードに注目。まるでモダンな和室にいる感覚で心が落ち着く印象
ステッチは掛縫いを表現にしたもので淡いメープルウッドの本木目のパネルと合わせた、濃淡が調和のとれた光の諧調は日本の美そのものだ
ステッチは掛縫いを表現にしたもので淡いメープルウッドの本木目のパネルと合わせた、濃淡が調和のとれた光の諧調は日本の美そのものだ
プレミアムスポーツのインテリア。タンカラーのナッパレザーや人工皮革(スウェード)のレガーヌをあしらったインテリア、ブラック/タンの2トーンのステアリングなど欧州車のプレミアムSUVを思わせる高級感だ
プレミアムスポーツのインテリア。タンカラーのナッパレザーや人工皮革(スウェード)のレガーヌをあしらったインテリア、ブラック/タンの2トーンのステアリングなど欧州車のプレミアムSUVを思わせる高級感だ

 Sパッケージも質が低いわけではなく、グレードによって内装に差が生じるのも当然だが、CX-60はグレード間の違いが激しい。

 上級グレードを試乗して内装が気に入り、ベーシックなグレードを選ぶと、納車された時に落胆する心配がある。カタログや装備品表を見ても、内装の違いは分かりにくいから、Sパッケージなどを選ぶ時には実車で確認したい。

XDやSパッケージ(25S/XD/PHEV)のインパネデコレーションパネルはラギッドブラックの樹脂となる
XDやSパッケージ(25S/XD/PHEV)のインパネデコレーションパネルはラギッドブラックの樹脂となる

 前席の座り心地は、少し硬めだが乗員の体をしっかり受け止める。背もたれの下側の形状と硬さも適度で、長距離を移動する時も疲れにくい。後輪駆動らしく、ATレバーの収まるセンターコンソールが少し高めに設定されるが、開放感は妨げない。運転席と助手席の間隔も十分に確保され、リラックスした雰囲気を味わえる。

 後席は床と座面の間隔が若干不足している。CX-60にはPHEVが用意され、17.8kWhのリチウムイオン電池を床下に搭載するから、床が少し高い。この影響で後席に座ると膝が少し持ち上がるが、窮屈に感じるほどではない。

身長170cmの筆者が後席に座ると膝先空間はこぶし2つ分のスペース。広さはほぼCX-5と変わらない印象だ
身長170cmの筆者が後席に座ると膝先空間はこぶし2つ分のスペース。広さはほぼCX-5と変わらない印象だ

 身長170cmの大人4名が乗車した時、後席に座る乗員の膝先空間は握りコブシ2つ分だ。この余裕はCX-5と同程度で、SUVの平均水準に収まる。広々感はないが、後席に座る乗員の足が前席の下に収まることもあり、長距離移動にも対応できる。

 後輪駆動だから後席中央の床にはプロペラシャフトの通るトンネルが張り出すが、大きくはない。それでも床が少し高いので、購入時には乗降性を確かめたい。

 荷室も床が少し高いが、リアゲートの開口幅は1082mm、高さは744mmを確保した。荷物を出し入れしやすく、SUVとして使い勝手は満足できる。

■2.5L、直4ガソリン/2.5L、直4ガソリン+モーターのPHEV/3.3L、直6ディーゼルターボ/3.3L、直6ディーゼルターボ48VマイルドHVの4種類

縦置きプラットフォーム、直6エンジン、トルクコンバーターレス8速AT、後輪駆動ベースAWD、PHEVシステム、マイルドハイブリッドシステムなどCX-60のパワートレインは注目点が多い
縦置きプラットフォーム、直6エンジン、トルクコンバーターレス8速AT、後輪駆動ベースAWD、PHEVシステム、マイルドハイブリッドシステムなどCX-60のパワートレインは注目点が多い


■CX-60のパワートレインは4種類
●25S:2488㏄直4ガソリン、188ps/6000rpm、25.5kgm/6000rpm
●XD:3283㏄直6ディーゼルターボ、231ps/4000~4200rpm、51.1kgm/1500~3000rpm
●XDハイブリッド(48VマイルドHV):3283㏄直6ディーゼルターボ(254ps/3750rpm、56.1kgm/1500~2400rpm)+モーター(16.3kgm/900rpm、15.6kgm/200rpm)
●PHEV(e-SKYACTIV PHEV):2488㏄直4ガソリン+モーター、スペックは未発表。2022年12月発売予定

 パワーユニットは、直列4気筒2.5Lガソリン、2.5LガソリンをベースにしたPHEV、直列6気筒3.3Lディーゼルターボ、このディーゼルターボをベースにした48Vマイルドハイブリッドがある。トランスミッションは、トルクコンバーターを使わず、多板湿式クラッチに置き換えた8速ATだ。

 注目されるのは、後輪駆動ならではの直列6気筒3.3Lディーゼルターボだ。最近は小排気量ターボが増えたから、直列6気筒3.3Lエンジンは時代に逆行するように思えるが、このディーゼルは余裕のある排気量を利用して、燃焼を最適に制御している。

 一般的に大排気量エンジンの目的は、多量の燃料を燃焼させて高出力を得ることだが、CX-60の直列6気筒3.3Lはそれだけではない。独自の2段エッグ燃焼室ピストンを採用するなど、希薄燃焼を効率良く行い、燃料消費量を抑えることを目的にしている。

ピストン燃焼室内で燃料混合気を分割配置し干渉を回避する2段エッグ燃焼室によるDCPCI空間制御予混合燃焼と排気量アップによって、実用領域をカバーできる広い深範囲で大幅な燃費改善を実現した
ピストン燃焼室内で燃料混合気を分割配置し干渉を回避する2段エッグ燃焼室によるDCPCI空間制御予混合燃焼と排気量アップによって、実用領域をカバーできる広い深範囲で大幅な燃費改善を実現した

 そのためにマイルドハイブリッドを搭載しないXD Lパッケージ 2WDでも、WLTCモード燃費は19.8km/Lだ。直列4気筒2.2Lクリーンディーゼルターボを搭載するCX-5 XD Lパッケージ 2WDの17.4km/Lよりも優れている。

トルクコンバーターレスの8速ATを採用。ドライブモードは日常ユースでバランスのとれた走りを提供する「NORMAL」、よりダイナミックな走りを愉しむための「SPORT」、悪路での走破性を高める「OFF-ROAD」(4WDのみ)、キャリア搭載・トレーラー牽引時の安定性を高める「TOWING」(PHEVあり、ガソリン車なし、ディーゼルは4WDのみ)、そしてPHEV モデル向けの「EV」という、シンプルで使いやすい5つのドライブモードを設定
トルクコンバーターレスの8速ATを採用。ドライブモードは日常ユースでバランスのとれた走りを提供する「NORMAL」、よりダイナミックな走りを愉しむための「SPORT」、悪路での走破性を高める「OFF-ROAD」(4WDのみ)、キャリア搭載・トレーラー牽引時の安定性を高める「TOWING」(PHEVあり、ガソリン車なし、ディーゼルは4WDのみ)、そしてPHEV モデル向けの「EV」という、シンプルで使いやすい5つのドライブモードを設定

 CX-60のATは、トルクコンバーターを使わない8速だから、CX-5の6速ATよりも約22%も効率が高い。目指したのは、究極の伝達効率、MTのようなダイレクト感。

 トルクコンバーターは流体を介して動力を伝達するため、滑りによるエネルギーロスや動力伝達の遅れという欠点がある一方、ショックや振動を伝えにくく、ロス=発熱を流体に逃がすという利点もある。しかし多板クラッチも高効率、ダイレクト感があるがつながりのギグシャク感や発熱が欠点。

 それぞれ利点と欠点があるが、マツダはそこに一歩踏み込み、クラッチ制御油圧の制度や応答性を改善し、ショックや振動を抑えた。ロス=発熱は緻密な制御でクラッチの滑りを最小に抑えながら潤滑可変機構により、必要な時に必要なだけ潤滑することで欠点を克服した。

 CX-60の低燃費は、これらの相乗効果に基づくが、直列6気筒3.3Lのクリーンディーゼルターボによるところも大きい。そしてディーゼルをベースにした48Vマイルドハイブリッドも注目される。エンジンの後部にクラッチを装着して、その後ろ側にモーター、さらにクラッチ、8速ATと続く。

 マイルドハイブリッドのモーター駆動は、エンジンの効率が悪い発進時や低速域で活用され、燃費と環境性能を一層向上させる。マイルドハイブリッドは4WDのみに設定され、XDハイブリッド・エクスクルーシブスポーツ/モダンのWLTCモード燃費は21.1km/Lだ。マイルドハイブリッドを搭載しないXDエクスクルーシブモード4WDは18.3km/Lだから、燃費性能を15%向上できる。

 直列6気筒3.3Lディーゼルターボは動力性能も高く、XDは最高出力が231ps/4000~4200rpm、最大トルクは51kgm/1500~3000rpmになる。マイルドハイブリッドは254ps/3750rpm、56.1kgm/1500~2400rpmで、16.3ps/15.6kgmのモーターも加わる。両方ともガソリンエンジンの5Lに匹敵する動力性能を発揮する。

 さらに先に挙げた通り、性能は未定ながら、2.5LガソリンエンジンをベースにしたPHEVも用意され、パワーユニットは豊富だ。

 後輪駆動のプラットフォームと併せてサスペンションも新開発され、前輪側はダブルウイッシュボーン、後輪側はマルチリンクになる。キネマティックポスチャーコントロールも採用した。

 少し速度を高めてカーブを曲がる時には、内側に位置する後輪にわずかなブレーキを掛ける。この制御により、車両を後方/内側へ引き寄せ、ボディの傾き方を抑えて車両の挙動を安定させる。

次ページは : ■グレード構成はどうなっている?

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