「FFとFRのいいとこどり」が可能
e-4ORCE最大の特徴は、リアモーターの絶対出力が大きいこと。もちろん、他メーカー車でもリアモーターへのトルク配分によって、悪路でのトラクションやコーナリング性能向上を行っているモデルはあり、実際そうした電制4WD車は、滑りやすい路面では抜群の安定感を誇るが、今回のエクストレイルe-4ORCEほど、リアモーターの絶対出力を大きくしているモデルはない。例えば、RAV4ハイブリッドのE-FOURのリアモーターは、40kW/121Nmの出力と、新型エクストレイルe-4ORCE(100kW/195Nm)の半分以下だ。
・エクストレイルe-4ORCE FRモーター(150kW/330Nm)、RRモーター(100kW/195Nm)
・アウトランダーPHEV FRモーター(85kW/255Nm)、RRモーター(100kW/195Nm)
・RAV4 HYBRID 駆動力 FRモーター(88kW/202Nm)、RRモーター(40kW/121Nm)
・(参考)アリアB9 e-4ORCE 最高出力290kW、最大トルク600Nm ※前後配分は未公表
車両計画・車両要素技術開発本部 車両計画・性能計画部 操安乗心地性能計画グループ主管 富樫寛之氏によると、「e-4ORCEの強みはFFとFRのいいとこ取りができること」だという。
e-4ORCEが目指したのは「どんなシーンでも加速しながら曲がっていけること。特にスノー、ウェットでも信頼できること」だそうだ。e-4ORCEは0:100から100:0まで可変が可能で、前述したように駆動トルクが大きなリアモーターを採用しているが、例えば、上り坂のコーナーでリアに荷重が乗っている場合、リア側を主体に駆動することで、すばやく加速ができる。また下り坂のコーナーでも、フロント側はクルマの向きを変えることに特化して、リア側主体でトラクションをかけることで、狙い通りにライントレースができる。まさにFR車のコーナリングのメリットだ。古い言葉で「アクセルは第2のステアリング」というのがあるが、e-4ORCEはまさにそのことを実現できるのだ。
前出の富樫氏は、「リアモーターの駆動が大きいと懐が深くなる」という言い方をしていたが、実際の試乗においても、ライントレース性の良さの片鱗は感じることができた。
もちろん、平地での加減速や高速走行のときには、フロント主体で駆動することで、高い直進安定性が期待できる。実際には、FF駆動とFR駆動が切り替わるわけではなく、0:100から100:0の間で、シームレスに制御をされているのだが、このFFとFRのいいとこどりによって、「運転がうまくなった」感覚になるそうだ。
オンロードでスノーモードにすると絶対的な安心感を得られる
裏ワザとして聞いたが、安心感が欲しい人は街中でもスノーモードにするとよいらしい。e-4ORCEが100%介入するモードとなり、悪路・雪道・アスファルト・砂利道など、どんな路面でも絶対的な安心感を味わえ、制駆動時の姿勢制御もしてくれるので乗り心地もとても良くなるそうだ。
ちなみに、アリアの最強モデル「B9 e-4ORCE」のシステム出力は、290kW/600Nm(前後バランスは未公開)。となると、リアモーター出力の絶対値は、さらに高いものと考えられる(※前後同じ145kW/300Nm級のモーターが付くと予想)。アリアのe-4ORCEモデルは、まだ一般向けのデリバリーはまだなされていない(今夏以降の予定)だが、こちらも非常に楽しみだ。
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