■「まるで8速ATのようなフィーリングのこれまでにないパワーユニット制御だ!!」(斎藤 聡)
シビックe:HEVは、ゴリゴリのハイブリッド車なのに、そこをあえて売りにしないで、まるで上質な乗用車に乗っているかのような不思議なドライブ感覚を持ったクルマだと思います。
興味深く感じたのは、アクセルを深く踏みこんで強い加速をしようとすると、エンジンがまるでシフトアップしていくかのようにエンジン回転が上下することです。
しかもこれが笑ってしまうくらいリアルで、山道を走らせてみると、あえてモーターの加速感にも段差をつけて、まるでエンジン車に乗っているかのような錯覚に陥るほど。
そんな具合に徹底してパワーユニットを制御しているからモーターの気配が希薄で、慣れ親しんだエンジン車+7〜8速ATの感覚があります。
で、実際の走りはというとEVならではの分厚い低速トルクが、力強さや余裕のある走り(加速)を支えているので、貧弱さや非力さはまったくありません。
それどころか滑らかで上質ささえあります。
ちょっとボディは重いのですが、その重さも逆手に取ってしっとりしたサルーン風味の上質な乗り心地を演出している気配さえあります。
EVに大きく舵を切ったホンダですが、パワーユニットに関しては単純にモーターに切り替えるという考えではないように感じました。
誰が運転しても違和感がなく、モーターでもエンジンでもない、あるいはいずれとも取れるような、これまでにないパワーユニットに感じました。
来るべき未来に向けてホンダのさまざまな思いを詰め込んだクルマが、シビックe:HEVであるような印象を持ちました。
●斎藤 聡の採点表
・ハンドリング:8点
・加速性能:8点
・静粛性:9点
・内外装の質感:6点
・乗り心地:8点
・コストパフォーマンス:8点
(TEXT/斎藤 聡)
■「どんどんコーナリングが楽しくなる!! ホンダのスポーツ魂が宿る1台だ」(松田秀士)
1983年に当時のスーパーシビックレースで4輪レースデビューしたボクにとってシビックは特別なモデルだ。
しかも今年はシビック誕生から50周年のメモリアルイヤー。F1を撤退したホンダに今問われているのはスポーツ魂ではないだろうか? そんな思いでステアリングを握った。
まず、サスペンションが硬くなっている。
これまでのホンダのサスペンションの方向性はソフトでストロークを重要視するものだった。ところが今回は明らかに硬い。
ストロークもこれまでほどはない。
ただ意外にも乗り心地はそれほど悪くない。
それは、サスペンションストロークは短くなったが、決してオーバーシュートせず余計なバウンシングやピッチングがないから。路面の突起で跳ねることもない。
例えばスラロームでステアリングを切り込んでから逆方向に操舵する瞬間のニュートラル位置を通過する時、クルマの姿勢がデフォルトに戻っているのだ。その際の揺り戻しなど皆無。
だからレーンチェンジやコーナーからの立ち上がりで、その前のヨーやロールを引きずらず、すぐさま次のアクションに移る準備が整っている。
まさに路面に張り付いたようなフィーリング。
減衰力可変ダンパーなど使わず、コンベンショナルなショックアブソーバーで、ここまでセットアップしたことは高く評価できる。
さらにアコードからキャリーオーバーした2Lエンジンの採用でe:HEVの力感も厚くなり、特にスポーツモードでの走りがアグレッシブ!
新型シビックe:HEVにはホンダ開発陣のスポーツ魂が宿っていると感じた試乗だった。
●松田秀士の採点表
・ハンドリング:9点
・加速性能:8点
・静粛性:8点
・内外装の質感:8点
・乗り心地:7点
・コストパフォーマンス:6.5点
(TEXT/松田秀士)
●ホンダシビックe:HEV 主要諸元
・全長×全幅×全高:4550×1800×1415mm
・ホイールベース:2735mm
・車重:1460kg
・最低地上高:135mm
・最小回転半径:5.7m
・エンジン:直4DOHC、1993cc
・最高出力:141ps/6000rpm
・最大トルク:18.6kgm/4500rpm
・モーター:184ps/32.1kgm
・WLTCモード燃費:24.2km/L
・価格:394万200円
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