日産デイズ/デイズハイウェイスターが2019年3月28日にフルモデルチェンジにより刷新された(以下デイズをスタンダード、デイズハイウェイスターをハイウェイスターと呼ぶ)。旧型が2013年6月デビューだから約6年で初のフルモデルチェンジとなる。
日産のフルモデルチェンジ車は、2017年9月のリーフ以来約1年6カ月ぶりで、久々の登場となった日産の新型車デイズへの注目度は高い。
企画・開発のマネージメントを日産と三菱の合弁会社であるNMKVが行うというのは旧型と同じだが、日産が軽自動車に対して本気になり、開発の主導権を握ったのが旧型とは大きな違いといえる。ある意味日産が初めて本気で作った軽自動車とも言えよう。
三菱はeKワゴンとeKカスタムの後継車となるeKクロス、日産は従来どおりデイズにスタンダードとハイウェイスターをラインアップする。
デイズのライバルは、スズキワゴンR、ダイハツムーヴ、ホンダN-WGNとなるが、一新された日産デイズはどんな魅力を持っているのか?
文:ベストカーWeb編集部/写真:平野学
開発コンセプトは小型・普通乗用車と同じ
日産はユーザーがワクワクするような体験を具現化するために、『ニッサン インテリジェント モビリティ』をスローガンにクルマ作りを展開中で、デイズ/デイズハイウェイスターのコンセプトもここにある。
それを実現するために、旧型のネガ潰し(加速性能など)を徹底したうえで、快適&安全装備の充実などを図ることで魅力を追求している。その結果、軽自動車初、日産初となるものも満載されることになった(詳細は後述)。
デイズのスタンダードとハイウェイスターをフルモデルチェンジするにあたり、エンジン、トランスミッション、プラットフォームのすべてを新開発した日産の本気度に驚かされる。

日産デイズはユーザーが旧型に対して新開発エンジンの搭載、新プラットフォームの採用、新開発CVTの相乗効果で最も不満に感じていた加速性能の悪さを大きく改善
ハイトワゴン軽自動車ナンバーワンの快適空間
全長3395×全幅1475×全高1640(4WDは1660)mmということで旧型比で全高が20mmアップしただけ。
新しいプラットフォームは、フロントタイヤを前方に配置することでホイールベースを旧型から65mm延長。
これによりリアシートのニースペースは旧型より70mm長くなり、高級サルーンのフーガに匹敵するリアのスペースを実現することに成功している。

真横のアングルだと、新型デイズの前後のオーバーハングが強烈に短いことがよくわかる。65mmのホイールベース延長ぶんをユーティリティにそのまま活用
ラゲッジの広さもデイズの魅力で、旧型よりも+135mmの奥行きで、クラスナンバーワンの荷室スペースを誇る。リアシートはスライドするので、荷物によって広さを選べるのもうれしい。
広さに加えて、着座した時のアイポイントを15mm上げることで乗った時の安心感、見晴らし性が向上している。これはクラストップレベルの前方上方/下方視界角を確保しているという。

新型デイズシリーズのラゲッジスペースは旧型に比べて135㎜奥行きが増えて使い勝手も向上。リアシートはスライドするのでアレンジの範囲は広い
エクステリアの質感がすこぶる高い!
旧型同様にデイズはスタンダードとハイウェイスターをラインアップ。オーソドックスなスタンダードに対し、スポーティなハイウェイスターというキャラクターは踏襲しているが、躍動感と精度の高さを追求したことによりケタ違いの質感を見せる。
スタンダードとハイウェイスターではエクステリアで差別化が図られていて、最も顕著なのはフロントマスク。
スタンダードがハロゲンで目鼻立ちのハッキリした端正なマスクとなっているのに対し、ハイウェイスターは上下2段式7眼LEDを採用することでシャープかつワイルドな印象に仕上げられている。
エクステリア同様にボディカラーも差別化されていて、スタンダード、ハイウェイスタートも11色をラインアップしているが、ハイウェイスターのみ4タイプの2トーンカラーが設定されている。

スタンダードには端正なフロントマスクが与えられている。ハロゲンヘッドライトはアイラインが強調されていて印象的。かなり人気が出そうな顔だ

ハイウェイスターは上下2段式7眼LEDヘッドランプを採用。シャープさとワイルドさを持っている。独立したブーメランシグネチャーでワイド&ローを強調
新開発のパワーユニットは3種類
デイズのスタンダード、ハイウェイスターには新開発エンジンをベースに3種類のパワーユニットが用意されるのも特筆事項といえる。
■NAエンジン(ベースエンジン)
デイズシリーズ用に新開発された659cc、直3DOHCエンジンは、最高出力52ps/最大トルク6.1kgmのスペックが与えられている。
旧型デイズのNAエンジンが49ps/6.0kgmだったのでそれほどスペックアップしていないように感じるかもしれないがトルク特性を突き詰め、最大で15%アップしているという。
実際に乗ると旧型より明らかにキビキビ走る。最大トルクの発生回転数が旧型が5000rpmだったのに対し、新開発エンジンは3600rpmと1400rpm下がったことで実用域でトルクが出るので、ストップアンドゴーが連続するような渋滞や街中での加速、さらに高速道路での合流区間などでもストレスフリー。走り始めから力強さが感じられるのがいい。
ベースエンジンはスタンダードにのみ搭載。
■NAハイブリッド
今回のポイントの1つがこれ。セレナに搭載されているS-HYBRIDを進化させて搭載。セレナは鉛バッテリーだったが、デイズはリチウムイオンバッテリーに変更したことで、回生エネルギーが約2倍、アイドリングストップ時間が約10%アップ、モーターアシスト時間が10倍以上と大進化している。
ハイウェイスターに搭載されスタンダードには搭載されない。
■ターボハイブリッド
ベースエンジンをターボで過給することで、64ps/10.2kgmをマーク(旧型は64ps/10.0kgm)。こちらもNAエンジン同様にトルク特性にこだわり、全域でトルクの発生回転数が下がっているのでスペック以上の加速感を味わえる。
そしてこのターボエンジンに進化したS-HYBRIDを組み合わせることで、気持ちのいい走りと燃費性能を両立することに成功し、デイズの大きな魅力のひとつとなるハズだ。
どのエンジンも新開発のCVTとの相性はよく、走りの質感がかなり高い。

最強モデルにはターボ+進化したS-HYBRID+プロパイロットということで、軽自動車の常識を越える贅沢さを見せる。トルクが低回転から出ているので加速性能もいい
気になる燃費は?
【燃費性能】
・NA(ベースエンジン)
S/WLTC:21.2 km/L(市街地:18.6 km/L、郊外:22.3 km/L 、高速道路21.7km/L)、JC08:29.4km/L
・NA+S-HYBRID
ハイウェイスターX/WLTC:21.2 km/L(市街地:16.9 km/L、郊外:23.0 km/L 、高速道路22.6km/L)、JC08:29.8km/L
・ターボ+S-HYBRID
ハイウェイスターGターボ/WLTC:19.2 km/L(市街地:16.0 km/L、郊外:20.6 km/L 、高速道路20.1km/L)、JC08:25.2km/L
静粛性、乗り心地にも自信あり!
新開発のエンジンと新開発プラットフォームの採用の効果は絶大。エンジンから出る音を小さくすると同時に音質にもこだわり、遮音材・吸音材との相乗効果により、日産車ではキューブに匹敵する静粛性を実現している。
いっぽう乗り心地の進化では、日産の軽自動車としては初めてゼログラビティシートを採用したことが大きい。
あと、ショックアブソーバーのサイズアップも見逃せないポイントで、しっとりとした上質なハンドリングにも大きく寄与している。

新型デイズの加速性能はNA、ターボとも旧型に比べて大幅な進化を見せている。同時にステアリングフィール、足回りの躾などが上質で心地いい走りを実現している
プロパイロット搭載が超目玉
デイズシリーズには3種類のパワーユニットが用意されるが、S-HYBRID搭載のNA、ターボにセレナ、エクストレイル、リーフなどでおなじみのプロパイロットの搭載モデルが設定されている。これは今回の超目玉!
これで軽自動車初となる自動運転のレベル2技術(0〜4の5段階)であるプロパイロットが搭載されるのは画期的。高速道路での長時間巡航、渋滞でのストップ&ゴーの連続などでストレスの軽減に期待できる。
プロパイロットの正確なステアリング制御を実現するために必要な高価なブラシレスモーターを全車に標準装備したので、ステアリングフィールも軽自動車ではひとつ頭が抜けている。
これは車庫入れや切り返しが連続するようなケースで実感できるはずで、走りの質感を大いに高める要因となっている。

ステアリングに手を添えているだけで前車に追従するプロパイロットが軽自動車に搭載されたことで他メーカーも黙っていないはず。自動運転技術が過熱すること必至
もうひとつデイズの軽自動車初となるものとしては緊急通報システムがある。
これは高額車に搭載されている装備で、事故発生時に自動的にオペレーターに通報するシステムで日産車としても初搭載。SOSボタンは手動でも作動可能だから、あおり運転にも対応可能。
そのほか軽初ではないが先進技術満載で安全装備面出死角なし。
★インテリジェントエマージェンシーブレーキ
★インテリジェントLI(車線逸脱防止支援システム)&LDW(車線逸脱警報)
★踏み間違い衝突防止アシスト(ブレーキ制御付き)
★インテリジェントアラウンドビューモニター(異動物検知機能付き)
★ハイビームアシスト
オーテック製のボレロは個性的
デイズのスタンダードをベースにオーテックがカスタマイズしたボレロもラインアップ。
エクステリアでは、フロントグリルとバックドアフィニッシャーをダーククロームタイプに変更し、ホワイトパールのドアハンドル、ドアミラー、ホワイト専用14インチアルミを採用。
ボディカラーは、スタンダーは2トーンが設定されていないが、ボレロはホワイトルーフの専用2トーン3色を含む7色を設定している。
インテリアもソフトレザー調素材を多用するなど、カラーコーディネイトにもこだわりを見せ、独自のカスタマイズにより魅力アップさせている。

スタンダードをベースにオーテックジャパンが独自のカスタマイズを施したのがボレロ。ホワイトルーフ、ホワイトミラー、ホワイトアルミがナイスアクセント
【デイズシリーズ価格】
●S ……127万3320円
●X ……132万5160円
●ハイウェイスターX……146万9880円
●ハイウェイスターX プロパイロットエディション……156万7080円
●ハイウェイスターGターボ……154万9800円
●ハイウェイスターGターボ プロパイロットエディション……164万7000円
●ボレロ ……141万1560円
※全グレードとも4WDが設定されていて、13万1760円高
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新エンジン、新プラットフォーム、新トランスミッション、先進安全装備満載など、デイズは日産の本気が炸裂し、かなり魅力的なクルマに仕上がっている。
そんなデイズシリーズとして、旧型にもあったスーパーハイトワゴン系のルークスは約1年後にデビューすると予想。
デイズの月販目標台数は8000台と発表されているが、発売当初はかなりオーダーが殺到し長めの納車待ちが予想される。
ライバル車とのガチンコ対決も楽しみだ!