「今度のアクセラはマツダ3の名で登場するのでは?」と見られていたが、その予想どおり、これまでの日本名=アクセラの名を捨て、2019年5月24日、マツダ3が正式発表された。
今後マツダは、このマツダ3のような「深化させた魂動デザイン」をデザインイメージとして推し進めるが、この美しいルックスだけでも売れそうな予感を感じる佇まいだ。
また、マツダ3で使用した新世代プラットフォームを軸に新商品を展開予定で、2019年中にマツダ3とプラットフォームを共用するクーペSUV「CX-30」も発売予定。
こうした展開を考えてもマツダ3は、まさに令和の時代をマツダが生き抜けるかどうかの試金石となるわけだ。
注目の新世代ガソリンエンジン「SKYACTIV-X」は遅れて追加予定だが、同エンジンの初搭載を筆頭に、新世代モデルの第一弾となるマツダ3。その外観や内装、そして価格…改めて今後のマツダ車を占うニューモデルの全てを丸裸にする!
文:ベストカー編集部/写真:奥隅圭之
ベストカー 2019年6月26日号
伸びやかなデザインも全長は先代比で小型化!
さて、このマツダ3、改めて間近で見て感じるのは、やはりデザインの優秀さだ。
キャラクターラインを廃し、さらに極太のCピラーを持つことで塊感あふれるデザインとされたハッチバック(マツダは“ファストバック”と呼称)は、ともすれば大きくなったように見えるが、実際のボディサイズは、実は先代となったアクセラより全長が10mm縮められている。
全高がアクセラより30mm低められたことでワイド感が強調され、大きく見えるだけだ(全幅は同じ)。
光の移ろいや風景の反射でボディの膨らみなどの造形を際立たせるという深化した魂動デザインは、国産車のなかにあって異質と言えるものであり、街中にあっても決して埋没しない、強い個性を持っているといえるだろう。
個人的に少し意外だったのがセダンの美しさだ。ボディ前端からリアに向かって跳ね上げるようにデザインし、4ドアクーペのように見せようとするモデルが多いなか、しっかりとトランクを見せる伝統的なセダンの様式に則ったMAZDA3セダンは逆に新鮮に、そして美しく見える。
もちろん、それは先代アクセラ比で80mm伸ばされた全長と、その伸びやかさを強調する余計なキャラクターラインの排除という、新しい魂動デザインがあっての話だが。
ハッチバック、そしてセダン。ふたつのボディが、まるで異なる個性でまとめられているのは見れば明らかだ。共通するのは、いずれも虚飾を廃したことで、より存在感が際立ったということだ。
スイッチの操作感にもこだわった上質な内装
外観に目が行きがちなマツダ3だが、真のハイライトは実は内装ではないのかという印象を受けた。それほどに質感が高い。
基本的にコックピットまわりの造形はシンプルだ。外観同様、内装にも余計な虚飾を廃すというコンセプトが貫かれている。
3眼メーターの左右にはエアコンルーバーが設けられているが、これもステアリングを中心とした左右対称のデザイン。エアコンのコントロールパネルと助手席側ルーバーの高さを揃えることで、水平基調のラインを作り出したことも、見た目にスッキリとした印象を与える。
それらのシンプルな造形は、ともすると「安っぽさ」に結びつきかねないが、マツダ3はそうならない。それはインパネを構成する素材の精度の高さもあるが、その素材そのものが拘っている。
例えばシフトパネル。漆黒のシフトパネルはピアノブラックと呼んで採用する車種が多いが、マツダ3では柄を刻み込んだ黒のメタリックパネルの上にカラークリアパネルを置く2層成形としている。
これにより光を受けると、奥底から精緻な柄が浮かび上がって見える、凝った仕立てとされている。
そして、ダッシュボード。上部ダッシュボードにはソフトパッドが採用されているが、そのソフトパッドも天然の牛皮からパターンを取ることで有機的な表情を与えている。
それらの工夫を積み重ねることで上質さを目に訴えるのだが、さらに驚かされるのが各スイッチの操作感だ。
正直、パワーウィンドウスイッチをいじるだけで、オーディオの音量ツマミを回すだけで、ここまで質感の高さを感じさせてくれる国産車は、なかなか見あたらない。
目で、そして触感で。MAZDA3の内装には、間違いなく乗り手に訴えてくるものがある。
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