■超高回転型12気筒は珠玉のフィーリングか?
車名にシリンダー数を冠するだけあって搭載されたエンジンの排気量は6,5L。最大出力は830ps、最大トルク69.1kgmを発生させ、最高許容回転数は9500rpmと超高回転型エンジン。今後、実際にドライブできる機会があれば自然吸気エンジンのエキゾーストノートを堪能したい。
アクセルを踏めば目が覚める瞬発力を持つというドーディチ チリンドリだが、ふだん公道では300km/hを出すことはない。しかし、高いスピード域からでも危なげなく制動させるブレーキシステムにも注目したい。
MRモデルの296GTBで初採用された「ABS EVO」と「6D」センサーにより制動距離が短くなった。乾燥重量でも1560kgの車重でも200km/hでも122ⅿで停まる。
フロントノーズが長く一見、前後バランスが悪そうだが、フロント48.4%、リア51.6%と重量バランスは抜群。ドライサンプ式でエンジンを低く搭載することで旋回性能に貢献しているはずだ。
そこに、より高い旋回性を追求するため、各タイヤを独立して制御する4WS(四輪操舵)システムを投入。先代モデルの「812スーパーファスト」から採用された最新テクノロジーは、少しの陀に対してリニアに反応してくれる。
基本となるシャシーは新たに開発。総アルミニウム製でショックタワーやAピラー、Cピラーに鍛造を使って軽量化と高いねじれ剛性を確保している。
ドーディチ チリンドリのプレスリリースにはサスペンションの記述はなかったが、恐らく812と同様プッシュロッド式だと思う。あり余るパフォーマンスをフェラーリ独自のアクティブセーフティテクノロジーがドライバーの技量を手助けしてくれることだろう。
■実車のパフォーマンスに期待!
とかくパフォーマンスに目が行きがちだが、今回の発表会で流されたエンツォ・フェラーリ氏の過去のインタビュー映像に「12気筒モデルは瞬時のスピードを極めることにこだわる」と語っている。
ドーディチ チリンドリは0.1秒を削って速さを追求するのではなく、長い距離を快適に移動することに重点を置いているグランツーリズモという位置づけだ。しかし、ひとたびアクセルを踏み込めば瞬時にパワートレーンがタイヤに鞭を入れ痺れるパフォーマンスを体感させてくれることだろう。
今後、私がベストカー本誌で月イチ連載中の『スーパーカー劇場』などでインプレッションレポートを読者の皆さんにお届けできることを期待してほしい。
ちなみに日本で公開されたのはクーペだけだが、スパイダーも用意される。価格はクーペが5674万円でスパイダーが6241万円。
ちなみに2024年7月5日に映画『フェラーリ』が封切りされる。フェラーリ創設者であるエンツォ・フェラーリのF1に捧げた人生を描いているようだ。予告ストーリーでは創設から10年後の話のようなので、創設当時の話がどこまで再現されているか現時点では不明だが、ドーディチ チリンドリの発表とともに2024年の夏は日本でもフェラーリに注目が集まりそうだ。
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