トヨタの上級人気ミニバン「エスティマ」が、2019年10月17日に生産中止。そして、取材により、すでに完売間近となっていることが明らかになった。
既報のとおり、生産中止についてはお伝えしてきたが、トヨタ公式HPの「ラインナップ一覧」からもついにエスティマの名が姿を消した。
“天才タマゴ”のキャッチコピーで親しまれ、2000年には年間3位の12万2437台を売り上げた人気ミニバンは、なぜ生産終了に至ってしまったのか? 最新の販売動向や不透明といわれる後継モデルの行方も含めて、販売店で得た生の情報をお伝えする。
文:遠藤徹、編集部
写真:TOYOTA、編集部
【画像ギャラリー】これで見納め!! “天才タマゴ” 現行型エスティマの雄姿
エスティマはすでに在庫のみ! 10月末で完売も
現行型のエスティマは、販売店筋によると「10月中旬にオーダーストップになり、在庫一掃セールに入っている。10月いっぱいで完売する見通しだ」(首都圏トヨタ店、カローラ店)という。
後継モデルが再び登場することは、今のところまったくない状況である。
東京地区は2019年4月から「トヨタモビリティ東京」に統合し、トヨタブランド全車扱いに切り替えているからエスティマに代わるモデルが存在する。東京地区以外のトヨタ店とカローラ店はないので、困った状況にある。
2020年5月からは全国レベルで4系列店が「トヨタモビリティ」に統合されるので、エスティマを扱っていたトヨタ店、カローラ店は、エスティマユーザーに対してはアルファード/ヴェルファイア、エスクァイアなどへの代替えを勧めることになる。
とはいえ状況はそう簡単ではない。エスティマの車両本体価格は327万1418~492万8727円。これに対してアルファード/ヴェルファイアは337万6080~750万2760円だから、その差は10万4662~257万4033円もある。これに値引き差を考慮すればさらに20万円以上もエスティマの方が安くなる。
ボディサイズもひと回り大きいので、車庫に入らず代替えできないという問題もある。
扱い店によると、「エスティマユーザーの中では車庫や駐車スペースで問題がないお客さんはアルファードやヴェルファイアに乗り替えるケースもあるが、どうしてもエスティマのサイズでないと代替えできない人もいる。そういう場合は在庫車を捜すか中古車で間に合わすしか手がない」ことになる。
「新型」は本当にないのか? エスティマが見捨てられた理由
確かに最近のエスティマの販売台数を見る限りでは生産の継続が難しい面も伺える。
アルファード/ヴェルファイアが毎月合わせて7000~9000台も売れているのに対して、エスティマは600~900台で10分の1程度だから、販売は続けにくい状況にある。
それでも扱い店は、
「最近のエスティマが売れ行き不振なのはモデルチェンジせず、安全対策、使い勝手など商品力向上に努めていないからだ。
フルモデルチェンジして現在のマーケットニーズに合わせた改良を行えば必ず売れ行きは回復する。このボディサイズが丁度よく、デザインもかっこよいので生産中止を惜しむお客さんの声は多い」(首都圏トヨタ店、カローラ店の営業マン)
と頭を抱えている。扱い店の首脳は開発するトヨタに対して、次期型の開発要請をしているが、生産中止の路線が決まり既にオーダーストップしているので、どうしようもないのが実情のようである。
今現在でエスティマの購入希望がある場合はどうするか。
東京地区であればトヨタモビリティ東京と地場資本の各社、他の地域であれば可能な限り多くの扱い店であるトヨタ店、カローラ店を回り買い得の在庫を捜す。
ただ、グレード・ボディカラーなどに限りがあるので、希望のグレードやボディカラーを選べない可能性がある。グレードは「アエラス」、ボディカラーはホワイトパールなら選べる確率が高い。ナビ、ETC付きなら45万円以上の値引きが期待できる。
従来のように同じエスティマ同士を競合させて大幅値引きをゲットするような余裕のある作戦は使えない。該当する在庫を1本に絞った交渉しかできない。
完売している店舗が多くなると、あとは中古車を捜すしかない。トヨタや専業店の中古車展示場に出向けば、まだ程度の良いタマ数はたっぷりあるはずだ。
コメント
コメントの使い方