■デビュー17年で熟成されたデリカ
デリカD:5のエンジンルームもシーリングがしっかりしています。これはディーゼルエンジンの音対策です。特に吸気音を室内に入れないようにしています。
ただ、これはアルファードと同様なのですが、フード左右端のシーリングは薄いゴム片ではなく、発泡ゴムを使ってほしいです。
エアインテークは冠水路対策でエンジンルームの高い位置に配置され、さらにグリル部からの導入経路に「返し」を付けて水の吸い込みを抑止しています。このクルマらしい対応です。
インパネデザインには古さを感じさせますが、ソフトフェイシアにして質感を高めています。シフトノブは一般的なレバー式ですが誤操作の可能性が低く、操作性はいいと思います。
オーソドックスな針式の2眼メーターは文字サイズや色遣いも平凡ではありますが、視認性に優れ、機能的です。キャンプ場へのオフロードを走る際など、この視認性が安心感につながるのです。
シートはクロスの表皮が滑らない素材で身体のホールドがいいです。前席は座面先端のRが優しく、腿裏や膝裏を圧迫しません。これはいいシートです。ただ、座面長が不足気味。あと2cm長いとベストです。
天井の内張クロスは目付けが粗く、ちょっとコストを低減した仕様です。
2列目は左右独立シートですが、アルファードの重厚な座席と比べると座面が小さく、質素で素朴な印象です。しかし、シートそのものは悪くありません。クッションストロークもしっかりあって、座り心地はいいシートです。
3列目は広くしっかりとした座席なのですが、クッションが薄く硬いのが難点です。2列目を実用的な前後スライド位置にした状態でも膝前、足元ともにスペースは充分です。
3列目のスライドをやや前にして荷室スペースを稼いでも充分実用的な足元空間を維持します。滑らない表皮は身体をホールドするので力を抜いてゆったり座れます。
3列目シートは左右跳ね上げ式ですが、ガスダンパーがないためとても重く、片手では操作できません。両手でしっかりと支えて、体重をかけて持ち上げないとダメです。また、脚も連動して出し入れしないので、特に展開時は怪我に注意して慎重に作業する必要があります。
エクステリアは個性的でいいと思います。アウトドアのタフなイメージをうまく表現しています。タイヤハウスの内張にはチッピングノイズを抑える吸音材が貼られています。細かい部分に気が使われています。
【画像ギャラリー】日本のミニバンは世界に誇れるカテゴリーよ! アルファードとデリカを隅々まで是非(20枚)画像ギャラリー■三菱 デリカD:5
さて、まずはいつものようにゆっくりと歩く程の速度で大きくステアリングを左右に回します。
基本設計が古いプラットフォームということもあってキャスターは比較的立ったジオメトリーで5度程度。ステアセンターからの切り始めの反力は弱めでやや節度感のない操舵感ですが、操舵に対する車体の反応に左右差はありません。車体や操舵系の作り込み精度は高く、遊びがないのです。
山道を走っていても、全高が1875mmあり、最低地上高185mmのクルマとは思えない安定した操縦性です。路面のペイントが連続する微小段差を通過する際の足の動きもスムーズで、突き上げ感はありません。これは玉成されています。
ロードノイズもよく抑え込まれています。車体のフロア剛性によって、余計な共振が抑え込まれています。オールテレーンタイヤを履いていますが、実は一般的なサマータイヤよりもトレッドのゴムは柔らかいので路面を叩く音は小さくなっています。
また、エンジンルームのシーリングがしっかりしていることでディーゼルのメカノイズがキャビンに入り込んでいないため、室内は全体的に静かです。
吸気音だけは室内に入ってくるのですが、これが嫌なノイズではなく「サウンド」なので心地いい。アクティブなデリカの雰囲気にはむしろいいアクセントになっています。ブレーキはややフロント寄りでノーズダイブも大きく感じます。
2.2Lディーゼルターボは滑らかでスムーズではありますが、トルクのパンチは感じません。しかし、8速ATがトルクバンドをキープして上質なドライバビリティを発揮します。イヤな振動もありません。
17年間作り続けていることで、欠点をしっかりと潰して磨き上げたクルマです。新しさは感じませんが、安心できる仕上がりです。
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