■大型ミニバン自慢の室内空間は?
さて、アルファードの室内です。最上級モデルのエグゼクティブラウンジです。
スライドドアを開けると連動してステップが出てきますが、これはいいですね。圧倒的に乗降性がよくなります。このステップがないと、ちょっとフロア段差が大きく、お年寄りや小さいお子さんは困ります。
たしかに2列目シートは豪華です。ですが、贅沢の美学的な余裕は感じられません。限られた空間にとにかくあらゆるものを詰め込んだ……感があります。
2列目シート自体はとてもいいです。座面もゆったりとしていますし、背もたれも大きくフィット感もいい。クッションストロークもたっぷりあります。足元空間にも余裕があって快適です。ただし、表皮がツルツルで身体が滑ってしまい、身体の力を抜いてくつろげません。表皮のグリップは大切な要素です。
前席下の足元空間に安っぽいプラスチック剥き出しの小物入れなどを設置するのは、せっかくのラグジュアリー感を壊してしまいます。革張りにするとか、フロアと同じカーペット調にするなどの気遣いが欲しいのです。高級車とは、そういうところの作り込みなのです。このあたりは欧州車を勉強してほしいです。
天井の内張は目付けの詰まった高級素材を使っていますね。手触りもいいです。対照的にドア内張表皮のシボが粗く、大衆車クラスの質感なのが残念です。
エグゼクティブラウンジでは、シートの調整やエアコンの調整の専用のスマホのようなタッチパネルが標準装備されますが、アームレスト部に機械式スイッチも併設されていて、お年寄りなどタッチパネルに馴染めない方への配慮もあります。こちらは操作感もよく、好ましく感じます。
3列目シートも居住空間はたっぷりとしていて狭さを感じません。2列目を実用的な前後スライド位置にしても、膝前、足元ともに余裕があり、頭上空間も余裕があります。
サードシートは左右に跳ね上げて収納できる仕様ですが、そのわりには座面クッションは厚く、背もたれの高さも肩口までカバーしていて、長時間座っていても疲れない、よくできたシートです。
運転席も座面前後が長く、クッションストロークもたっぷりあり、身体を包み込んでくれてフィット感がいいです。
しかしダッシュパネルの奥行きが深く、フロントウィンドウの下部が遠いので汚れてもサッと拭き取ることができません。この部分は風の流れで発生する静電気により汚れやすいのです。
相変わらずトヨタ車のメーターは小さな文字と判別しにくい書体で視認性はよくありません。これは他車も含め、要改善です。メーターには重要な情報が表示されるのですから、パッと見て、瞬時に読み取れる視認性が大切です。
エンジンルームを見ると、GA-Kプラットフォームの構造はカムリ以来変わりませんが、サスアッパーがダッシュパネルに直付けされ、また補強パネルの入れ方など、よく研究されていることがわかります。
セダンにも使われるプラットフォームなので、サスアッパーの位置やエンジン搭載位置がエンジンフードから低い位置にあります。ボディパネルで大幅に嵩上げしています。
エンジンルームのシーリングは結構しっかりとやってきています。室内の遮音性を気にしていますね。
それであればフード左右端のシールは薄いゴムの成形ではなく、欧州メーカーがよく使用する発泡ゴムの塊のほうが遮音だけではなく吸音効果や熱気侵入防止も図ることができ、効果的です。しかもコストはほとんど変わりません。
バックドアは巨大ですね。電動開閉のスイッチはリアコンビランプのボディサイド側に設置されていますが、これはいいアイデアです。車体後部で開閉すると、この天地高のバックドアは後ろに立った人を直撃します。
また、これだけ大きな開口部だと、当然車体剛性に大きく影響を及ぼします。そのためバックドアと車体にはガッチリと嵌合する凹凸部があります。バックドアは走行中の入力によってミリ単位で振動していて、車体後部の剛性を低下させています。
そして、この振動がルーフレールを伝わって共振して、ドライバーや2列目乗員の耳元で“ゴー”音となるのです。ガッチリと嵌合させることでこれらを防いでいるのです。
3列目シートの収納は左右跳ね上げ式ですが、ガスダンパーがあるため片手で軽々操作できます。脚の出入りも跳ね上げ下げに連動しているのでワンタッチで簡単に操作できます。
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