【国による更なる課税制度進行中!!?】 一体どうなる?? 前代未聞の「走行税」とは

■石油連盟からの提言に国の影あり?

 もう少し深く考えてみたい。前出の10km/Lのクルマで59円のガソリン諸税なら、1km走行で5.9円の走行税と同じになる。

 ガソリン諸税を撤廃し、1kmあたり5.9円の走行税とすれば負担増はなし。されどガソリン諸税を廃止しなければ純増になってしまう。

 公共交通機関のない地域にとってみればトンデもない話。燃料課税が低いディーゼル車だって大幅増税になる。二酸化炭素排出量削減に水を差します。

 ハイブリッド車など燃費いいクルマが増えたことも、税収を考えたら大きな問題になっている、と書いた。

 例えば、プリウスの年間税負担(自動車税+ガソリン諸税の合計)は、走行距離を年間1万kmにした場合、燃費12km/Lのクルマと比べたら約6万6666円の減収になってしまう。

 燃料消費量が半分になるため、ガソリン諸税も半分になるという寸法(※レギュラーガソリンを140円で試算した場合)。さらに税収少ないのはガソリンを使わない電気自動車で、リーフだとわずか2万9500円。

走行税には国の意向がはたらいている?

 直近の10年で燃費いいハイブリッド車や軽自動車が急激に普及し、ただでさえ税収ガタ落ちといった状況。電気自動車やPHV(50km程度なら電気で走れるハイブリッド車)の増加により、今後さらに税収は減ってしまうことは明白。

 今のうちに何とか自動車から税金を取るシステムを作っておきたい、というのが今回の税制変更の狙いである。石油連盟からの提案ということになっているけれど、背後には国があると思う。

 現実的にはどんな走行税を考えているのだろうか? もちろん現時点で詳細な内容はまったく出てきていない。とはいえガソリン諸税や軽油にかけられている軽油引取税を廃止するとなれば、これはこれでたくさんの手続きが必要。

 もっと大きい話で状況を考えると、二酸化炭素の排出量を減らすという方向に持って行けない。やはり、化石燃料を使って走るクルマは、ある程度の罰則的な課税が必要になってくると考えます。

 たとえば、自動車税やガソリン諸税などすべて廃止したケースだと、年間平均1万km走る乗用車であれば1kmあたり7円程度の走行課税だと、現状と同等の収税になる。

 ガソリン諸税を取れない電気自動車やPHVも、走行課税なら収税可能。加えて平均的な走行距離の使い方であれば増税にもならない。

 週末にしかクルマを使わない都市部の人からすれば減税になるほど。その場合、電気自動車に代表される環境自動車も同じ。

走行税は燃費のいいプリウスのようなハイブリッド車が増えたなかでの、ガソリン諸税減収対策のように思える

 加えてクルマが必需品になっている地域で、なおかつ年間走行距離の多い使い方だと大幅増税になってしまう。ハイブリッド車に年間2万km乗る人の試算をしてみた(※1kmあたりの走行税を5.9円から7円になったと想定して試算)。

 現在の15万7500円が、17万9500円になるから深刻。年間走行距離の多い人は間違いなく負担増になると考える。

 公共交通機関が充実しており、サンデードライバーの多い都市優遇になります。クルマしか移動手段のない地域からすればトンデモない。

 総合的に評価するなら、走行税だけに絞るというのは難しいだろう。やはりミックスしていくしかない。

 ただ1kmあたり2~3円という金額だと、GPSなど使ったって正確な走行距離を測定するのは困難(海外でGPSを使って走行課税してるのは追いかけやすい高速道路のみ)。

 今後10年くらいかけて検証していく税制のように思う。ちなみに年間総走行距離の少ない趣味のクルマを持っている人には歓迎できる税制かも。


次ページは : 【番外コラム】 諸外国での「走行税」は?

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