このところ「走行税」なる新たなクルマ関係の税金の存在が世間を騒がせている。エンジン排気量や車重にかかわらず、純粋にクルマが走行した距離によって課される税金というのがその骨子のようだが、実際のところ、ユーザーはどのように対応していくべきなのだろうか?
■クルマ購入から所有までにかかる現在の税金
・消費税(購入時)
・環境性能割(自動車取得税廃止の代替。来年9月30日まで臨時的軽減措置あり)
・自動車重量税
・自動車税(軽自動車税)
・揮発油税
・地方揮発油税
・石油ガス税
・軽油取引税
・消費税(ガソリン購入時)
・ここに新たに「走行税」が加わってくる!?
※本稿は2019年10月のものです
文:国沢光宏/写真:AdobeStock、ベストカー編集部
初出:『ベストカー』 2019年11月10日号
■対象となるのはEVとFCV!? 「走行税」の本質とは何か?
編集部の担当者から連絡あって「けしからん! 走行税」という企画でございます。今後、ガソリンなどの税収が減る国が「1kmごとに5円」という想定のもと、新たに導入しようという税金のようですけれど、どうなるんでしょうか? とのこと。
走行課税についちゃ昨年あたりから導入に向けてさまざまな動きが出始めている。今回ネットを中心に「走行税導入フザけるな!」というウワサになったのは、経済産業省に対する石油連盟からの提案。
石油連盟曰く、「ガソリン課税を廃止し、走行距離や車重による課税をすべき」。
コンセプトはシンプル。税金の負担が極端に少ない電気自動車対策であります。冷静になって考えていただきたい。現在の税制も事実上の走行課税と言っていい。
ガソリン1L使うと、10月1日から59円(ガソリン諸税に10%の消費税をかけた金額。税金に税金をかけてどうする!)の走行税を自動的に払っているようなモノですから。
計算してみよう。10km/Lの車両で1万km走るとすれば、年間1000L使う。すると5万9000円の走行税を払っているのと同じこと。ガソリン諸税を廃止して1kmあたりの走行税に切り替えるとどうか? その場合、5万円になります。
つまり、自動車ユーザーからすれば税負担額は同等。だったら走行税のほうがいいんじゃないかという石油連盟の主張だ。興味深いのは「なんで今になってそんなこと言い出したのか」という点。
これまた簡単です。ただでさえハイブリッド車の普及により燃料消費量は減っている。燃費いいクルマだって増えた。おそらく20年前と比べ、ガソリンの税収は半分くらいになってると思う。
今やガソリン諸税を走行税に換算したら1kmあたり2~3円になってます。そのうえで電気自動車は税金なし。
今後、電気自動車が増えてきたら税収減るばかり。これからさらに減ったら、道路を作る財源も不足するということなんだろう。
興味深いことに大手メディアの反応はバラバラ。なかには「レンタカーやカーシェアなどが増える時代を見越したもの」みたいな「オレはクルマなんか乗らないけどね」的な解説まで出てきた。
確かにレンタカーの平均走行距離をみると個人所有者の2倍近い(全国平均で年間1万8000km)。けれどレンタカーだってガソリンを使うため事実上の走行税になってます。石油連盟の提案の向こう側にはやはり電気自動車がある。
コメント
コメントの使い方