【マツダの大黒柱だけどちょっとややこしい】CX-3、CX-5、CX-30どこがどう違う??

 最近のマツダのクルマを見ると、「どれも同じに見える…」という一般読者からの意見をよく耳にする。

 確かに魂動デザインを採用してから、マツダ自身があえてどのモデルも近しいデザインにしているため、そういった意見は当然ともいえる。では、走りなどまで見ると同じなのか? といえばそうではない。きちんとそれぞれのモデルで違いが明確になっている。

 今回は見た目の似ている3モデルが、どう違うのか? や、今ならどれを買うのがお薦めなのか? を、走りと実用性の面から岡本幸一郎氏が解説する。これを読めば、どうしようか悩んでいたあなたもスッキリ間違いなし。

文/岡本幸一郎
写真/MAZDA、編集部

【画像ギャラリー】似ているようで実は違う! マツダSUV3モデルを並べて比較してみる!!


■似ているようで、実は熟成が進んでいる魂動デザイン

 現行CX-3がもうしばらく販売されそうな感じなので、現時点ではCX-30がCX-3とCX-5の間を埋めた格好となっているが、実質的にCX-3の後継となるものと思われる。

 車名の数字がいきなり2ケタになったのには、デザインや走りが大きく進化を遂げた新世代商品であることを印象づけるという狙いがあるようだが、実はすでにCX-4が中国専売モデルに存在するため、苦肉の策として「30」としたようだ。

2019年10月24日に発売されたマツダ「CX-30」。2020年1月にはSKYACTIV-X(スカイアクティブX)搭載グレードも投入した

 ボディサイズは、CX-3が全長4275×全幅1765×全高1550mm、CX-30が4395×1795×1540mm、CX-5が4545×1840×1690mm、ホイールベースはそれぞれ2570mm、2655mm、2700mmとなる。

 全高が抜きん出て高く、そのぶんシートの着座位置も高いCX-5は、SUVらしい高めの目線を好む人に適する。逆に、全幅が1800mmを超えるなんてとんでもない! という人はCX-5はあきらめざるをえない。

 なお、最小回転半径はCX-3とCX-30が5.3mで、CX-5は5.5mとなっている。むろん物理的なサイズも取り回しに効いてくるので、日々の買い物など日常的に使うにはCX-3がもっともラクではある。

 見た目の好みで選ぶのももちろん大いにアリだが、どれもよくできているので悩ましいところだ。なかでも「世界で最も美しいクロスオーバー」を目指したというCX-30は、ひときわ印象的だ。キャラクターラインを入れず、余分な要素を削り曲面で美しさを表現したという「引き算の美学」を取り入れたCX-30は、CX-3やCX-5とはまた違った趣がある。風景の映り込み方も独特だ。

 CX-3が出た時に、クラッディングパネルがCX-5よりもずっと太いことが印象的だったものだが、CX-30ではさらに幅広にされたことに驚く。これはボディを薄く見せる効果をのものらしい。

写真はCX-3。クラッディングパネルとは、Bピラーの部分ある黒い樹脂部品のことを指す
こちらはCX-5。CX-3のクラッディングパネルを比較すると、明らかにCX-5のほうが細いことがわかる

 全体としては、“魂動”デザインはおしなべて評価が高く、そのなかでもやはり後発になるほど新しい要素を取り入れているわけだが、あらためて見てみると、最初に出たCX-3の筋肉質で前進感のあるフォルムもなかなかのものだと改めて見直した次第である。

 実用性については、CX-5がもっとも優れることはいうまでもないが、意外とやるのがCX-30だ。

■失速のCX-3、そのワケは2モデルに比べて劣る実用性

 逆に、CX-3の販売が伸び悩んでいる理由として、後席の居住性や荷室の狭さが少なからず影響していることには違いなく、その反省もあってかCX-30ではクーペ的なフォルムで全高1550mmを切り、美しさを追求しつつもルーフ形状とウインドウ形状を工夫するなど、実用性をできるだけ損なわないようにした。

 結果、頭上や膝前など後席の居住空間は外見からイメージするよりもずっと広く確保されている。

 荷室容量は、CX-3が350リットル、CX-30が430リットル、CX-5が505リットルで、実際にもCX-3は横方向も奥行きも天地方向も小さめ。逆にCX-5はすべてが広い。そして気になるCX-30も、なかなか頑張っていて、印象としてはCX-3を広くしたというよりも、CX-5を少し小さくした感じだ。

 ただし、リアシートを4:2:4の3分割で倒せるのはCX-5のみ。4人が乗ってスキーなど長尺物を積んで出かけたい人には、CX-5を選んだほうが後席乗員にとって快適だ。

 また、この価格帯ながらパワーリフトゲートが大半のグレードに標準装備されていることにも注目だ。

■マニアックすぎるSKYACTIV-X。気持ちよさは2.2Lディーゼルが抜きんでる

 走りについて、まずエンジンでは、鳴り物入りのSKYACTIV-X(スカイアクティブX)が設定されているのはCX-30のみで、乗りたければCX-30を選ぶのみだが、聞いたところでは価格に割高感があるせいかあまり売れていないとか。

 ディーゼルのSKYACTIV-Dについては、ご存知のとおりCX-3とCX-30は1.8Lで、CX-5は2.2Lとなる。これが単に排気量が約400cc違うわけではなくて、まったくの別物。

 1.8Lも音や振動がディーゼルとしては抑えられているのはよいのだが、性能面でやや物足りなさを覚えるのに対し、2.2Lは大型ターボ側にVG(バリアブルジオメトリー)式を採用した2ステージターボチャージャー(速度域によって大小2個のターボを使い分ける)を搭載しており、圧倒的に力強くて気持ちのよいドライブフィールを楽しむことができる。

190ps/45.9kgmを発揮するマツダの新世代ディーゼル「SKYACTIV-D 2.2」。ヨーロッパ勢のディーゼルと比べても静かでトルクフルだ

 一方のガソリンのSKYACTIV-Gは、CX-3とCX-30が2.0Lの自然吸気となり、CX-5は2WDのみ2.0Lで、4WDは2.5Lのそれぞれ自然吸気となる。さらに、遅れて加わったハイパワーな2.5Lターボが選べるのはCX-5のみ。この爽快な加速を味わうためにCX-5を選ぶのは大いにアリだ。

 また、MTが選べるのは現行のマツダ車の大きな特徴のひとつだが、エンジンとトランスミッションの組み合わせが、CX-3とCX-5はディーゼルで、CX-30はSKYACTIV-Xを含むガソリンとなるという違いもある。

■リアをビーム式採用で乗り味を明確に差別化したCX-30

 フットワークについては、リアサスがマルチリンク式なのはCX-5のみで、ビーム式の2モデルに対して、やはり快適性の面で感じる違いは小さくない。CX-3とCX-30は、ビーム式だからというよりもチューニングのせいでやや硬さを感じる。

 いずれも“意のまま”を意図したハンドリングは、CX-3はいくぶんキビキビとしているが、いずれも過度に俊敏性を追求していないことが印象的。操舵初期の回頭感をGVC(G-ベクタリング コントロール)で表現するとともに、舵角に応じてリニアな感覚で曲がれるよう味付けされている。

 そのなかでも、CX-30はいまの世の流れとは逆で、ゆったりとした動き方をし、重心高の低さもあって車両の挙動が乱れにくい。世の中は俊敏なハンドリングを好む傾向だが、CX-30のこの味を好む人も少なくないことと思う。

マツダ3と同じく、リアサスをトーションビーム式に変更したCX-30。だがリアの接地性が削がれやすいことや、1.8Lディーゼルの動力性能の足りなさなど、改善点も散見される

 先進安全運転支援装備について、機能的にはやはり最後発のCX-30が優位。先行車発進お知らせ機能や、自動ブレーキの作動条件について対車両の上限速度が高くされたり、夜間の歩行者だけでなく自転車にも対応するなど、より進化している。ただし、現状は加減速の制御の煮詰めが不十分な感もあり、その点ではCX-3やCX-5のほうが自然で乗りやすい。CX-30はもう少し改善されるよう期待したい。

■トータル評価でイチ押しは「CX-5」。CX-30は熟成に期待

 総合的に見ると、大きさとお金の問題がクリアできるのなら、現時点ではCX-5がイチ押しだ。価格とバリューを考え合わせても、CX-5がもっともコストパフォーマンスに優れるように思う。

実用性、価格、走行性能をトータルで評価すると、最もお薦めとなるのがCX-5だ。2019年12月の商品改良で「オフロード・トラクション・アシスト」というデバイスを新たに搭載し、悪路走破性能も向上している(CX-30も搭載している)

 CX-30も内容的には十分に魅力的で、むろんこのデザインが好きならいま買うのも大いにアリだが、現状はいくつか本文で述べたことプラスアルファの気になるところが見受けられる。おそらくマツダのことだから、そう遠くないうちに得意の「商品改良」を実施してネガをつぶしてくれることだろうから、もう少し待ったほうが賢明だろう。

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