■失速のCX-3、そのワケは2モデルに比べて劣る実用性
逆に、CX-3の販売が伸び悩んでいる理由として、後席の居住性や荷室の狭さが少なからず影響していることには違いなく、その反省もあってかCX-30ではクーペ的なフォルムで全高1550mmを切り、美しさを追求しつつもルーフ形状とウインドウ形状を工夫するなど、実用性をできるだけ損なわないようにした。
結果、頭上や膝前など後席の居住空間は外見からイメージするよりもずっと広く確保されている。
荷室容量は、CX-3が350リットル、CX-30が430リットル、CX-5が505リットルで、実際にもCX-3は横方向も奥行きも天地方向も小さめ。逆にCX-5はすべてが広い。そして気になるCX-30も、なかなか頑張っていて、印象としてはCX-3を広くしたというよりも、CX-5を少し小さくした感じだ。
ただし、リアシートを4:2:4の3分割で倒せるのはCX-5のみ。4人が乗ってスキーなど長尺物を積んで出かけたい人には、CX-5を選んだほうが後席乗員にとって快適だ。
また、この価格帯ながらパワーリフトゲートが大半のグレードに標準装備されていることにも注目だ。
■マニアックすぎるSKYACTIV-X。気持ちよさは2.2Lディーゼルが抜きんでる
走りについて、まずエンジンでは、鳴り物入りのSKYACTIV-X(スカイアクティブX)が設定されているのはCX-30のみで、乗りたければCX-30を選ぶのみだが、聞いたところでは価格に割高感があるせいかあまり売れていないとか。
ディーゼルのSKYACTIV-Dについては、ご存知のとおりCX-3とCX-30は1.8Lで、CX-5は2.2Lとなる。これが単に排気量が約400cc違うわけではなくて、まったくの別物。
1.8Lも音や振動がディーゼルとしては抑えられているのはよいのだが、性能面でやや物足りなさを覚えるのに対し、2.2Lは大型ターボ側にVG(バリアブルジオメトリー)式を採用した2ステージターボチャージャー(速度域によって大小2個のターボを使い分ける)を搭載しており、圧倒的に力強くて気持ちのよいドライブフィールを楽しむことができる。
一方のガソリンのSKYACTIV-Gは、CX-3とCX-30が2.0Lの自然吸気となり、CX-5は2WDのみ2.0Lで、4WDは2.5Lのそれぞれ自然吸気となる。さらに、遅れて加わったハイパワーな2.5Lターボが選べるのはCX-5のみ。この爽快な加速を味わうためにCX-5を選ぶのは大いにアリだ。
また、MTが選べるのは現行のマツダ車の大きな特徴のひとつだが、エンジンとトランスミッションの組み合わせが、CX-3とCX-5はディーゼルで、CX-30はSKYACTIV-Xを含むガソリンとなるという違いもある。
■リアをビーム式採用で乗り味を明確に差別化したCX-30
フットワークについては、リアサスがマルチリンク式なのはCX-5のみで、ビーム式の2モデルに対して、やはり快適性の面で感じる違いは小さくない。CX-3とCX-30は、ビーム式だからというよりもチューニングのせいでやや硬さを感じる。
いずれも“意のまま”を意図したハンドリングは、CX-3はいくぶんキビキビとしているが、いずれも過度に俊敏性を追求していないことが印象的。操舵初期の回頭感をGVC(G-ベクタリング コントロール)で表現するとともに、舵角に応じてリニアな感覚で曲がれるよう味付けされている。
そのなかでも、CX-30はいまの世の流れとは逆で、ゆったりとした動き方をし、重心高の低さもあって車両の挙動が乱れにくい。世の中は俊敏なハンドリングを好む傾向だが、CX-30のこの味を好む人も少なくないことと思う。
先進安全運転支援装備について、機能的にはやはり最後発のCX-30が優位。先行車発進お知らせ機能や、自動ブレーキの作動条件について対車両の上限速度が高くされたり、夜間の歩行者だけでなく自転車にも対応するなど、より進化している。ただし、現状は加減速の制御の煮詰めが不十分な感もあり、その点ではCX-3やCX-5のほうが自然で乗りやすい。CX-30はもう少し改善されるよう期待したい。
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