価格の割安感
ルーミー&タンクの買い得グレードは、標準ボディのG(171万6000円)だ。このグレードにオプションのサイド&カーテンエアバッグ(5万600円)、LEDヘッドランプ(6万6000円)、LEDフォグランプ&イルミネーションランプ(2万2000円)、14インチアルミホイール(4万4000円)を加えると、合計189万8600円になる。
ソリオの買い得グレードはハイブリッドMZ(199万1000円)で、ルーミー&タンクGにオプションで加えた装備を標準装着する。それでも約10万円高いのは、ルーミー&タンクのエンジンが直列3気筒1Lなのに対して、ソリオは直列4気筒1.2Lマイルドハイブリッドになる対価と考えれば良い。
JC08モード燃費は、ルーミーGが24.6km/L、ソリオハイブリッドMZは27.8km/Lになる。
総合評価
機能と価格のバランスは同等だが、総合評価ではソリオが買い得だ。ソリオはルーミー&タンクに比べて、後席の座り心地、動力性能、走行安定性、操舵感、乗り心地、静粛性で勝っているためだ。
ただし収納設備はルーミー&タンクが使いやすく、荷室容量を拡大して汚れ防止の処理を施したから、用途によってはソリオよりも実用性が高い。
商品力に差が付いた理由は、開発方法と期間にある。ルーミー&タンクの開発者は、「約2年間で開発した」という。発売は2016年11月だから、開発のスタートは2014年だ。
この年には先代ハスラーが爆発的に売れ、ダイハツとスズキが、在庫車の自社届け出を含めて猛烈な販売合戦を展開した。
その結果、2014年(暦年)は、国内の新車販売における軽自動車比率が41%に達している。2019年の37%よりもさらに多かった。
この時に焦ったのがトヨタだ。小型車から軽自動車に流出するユーザーを食い止めるべく、ダイハツに大急ぎでルーミー4姉妹車を開発させた。
新しいプラットフォームは間に合わず、初代パッソから使われるタイプを利用して、エンジンも既存の1Lを搭載する。
動力性能が不足してターボを装着したが、開発者は「ノイズや振動に関しては、対策し切れない面が残った」と悔しそうに振り返る。
走行安定性も同様で、プラットフォームが想定する車両重量は800~900kgだから、1070kgでは重すぎる。
ルーミー&タンクの開発には、時間的な制約を含めて数々の困難が伴ったようだ。この事情を聞いていると好調に売れてよかったと思うが、ユーザーの皆さんには関係のない話だ。
皆さんがクルマを選ぶ時は、ルーミー4姉妹車、ソリオ、さらにシエンタやフリードなど、コンパクトで空間効率の優れた複数の車種を実際に試乗して、自分の使い方を考慮して判断するのいいと思う。
コメント
コメントの使い方