初代ヴィッツはコンパクトカー界の革命児
そこで「新型ヤリスは初代ヴィッツを超えたのか」の結論だが、インパクトやほかのコンパクトカーに与えた影響という点で、ヤリスは初代ヴィッツを超えていない。
初代ヴィッツが発売された時には、フィットはまだ登場しておらず、コンパクトカーは「エントリーカー/入門車」などと呼ばれていた。
一番安いカテゴリーでヒエラルキーも低く、スターレットには独特の楽しさはあったものの、ハッキリと目に見える部分をカローラよりも安く造っていた。
このようなコンパクトカーの概念を刷新したのが初代ヴィッツだった。当時の国産コンパクトカーでは、身長180cm以上のドライバーは正確な運転姿勢を取りにくかったが、初代ヴィッツなら最適な姿勢で座れた。
また当時の国産コンパクトカーは、フォルクスワーゲンポロ、オペルヴィータ、プジョー106などの欧州車に比べて、高速道路を中心とした直進安定性に不安を感じあたが、初代ヴィッツはこの欠点も払拭させた。
世界に打って出るための高品質という点では、カテゴリーはまったく違うが、初代セルシオに似た印象も受けた。
初代モデルが偉大だからこその苦悩
ヴィッツ&ヤリスに限らず、初代を超えられないクルマは多い。
コンパクトカーなら前述のフィット、軽自動車ではワゴンR、ミニバンならオデッセイやステップワゴン、スポーツカーのロードスターなどは、いずれも初代のコンセプトとクルマ造りが新鮮で説得力も強く、その後に紆余曲折を経て今に至る。
その代表はフォルクスワーゲンゴルフで、初代を超えるほどインパクトのあるゴルフは登場していない。
そして初代が偉大だったモデルは、その記憶が長く残るから、原点回帰を目指すこともある。現行型のフィットやロードスターでは、開発者から「原点回帰」の言葉が聞かれた。
ヤリスも新型になって原点回帰したから、初代ヴィッツを超える新たな展開を見せるのは、次期型以降になるだろう。
あるいはヤリスと共通のプラットフォームを使う新型車の可能性も高い。数年後には、かつてのファンカーゴのような派生的なニューモデルが、新型ヤリスをベースに投入される。そこに初代ヴィッツで受けたようなインパクトと感動があるのかも知れない。
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