2019年4月に日本市場では約3年振りに復活する形で再登場したミドルSUVのトヨタRAV4。
2019-2020年の日本カーオブザイヤーを受賞しただけでなく、3000台の月間販売目標台数に対し昨年は月約6000台(4月の登場ながら登録車の年間販売台数ランキング16位)、2020年に入ってからの平均販売台数も月約5600台と絶好調である。
当記事では一度日本市場では絶版になったこともあり、発売前はそれほど期待が大きくなかったRAV4が絶好調となっている理由を考察する。
文:永田恵一/写真:TOYOTA、平野学
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RAV4はトヨタの世界戦略車だけに気合十分
RAV4は1994年に初代モデルが登場した。初代モデルはエンジン、トランスミッションといったパワートレーンこそ既存のものながら、今でいうプラットホームは新規のものを使った当時としては珍しい乗用車ベースとなるエンジン横置きFFのSUVだった。
初代モデルは3ドアのみでスタートし、3ドアはキュートなスタイルや木村拓哉さんを起用したCMが受けたほか、価格も約160万円からと安かったこともあり大ヒット。翌1995年には5ドアも加わり、トヨタの世界戦略車にも成長した。
しかし2000年登場の2代目モデル以降は世界戦略車となったせいもあるのか保守的なクルマとなったのも否めなかった。
2005年登場の3代目モデルの後は海外向けこそ2012年に4代目モデルとなったものの日本向けは3代目モデルのまま販売され、2016年に一度絶版となった。
という歴史を経て「心機一転」と昨年4月に再投入された現行RAV4は現行カムリなどにも使われる新世代のTNGA-Kプラットホームを使ったオーソドックスなミドルSUVである。
コンセプトはオーソドックスながら、RAV4はグローバルで年に100万台近くが売れるという世界戦略車だけに力の入ったモデルだ。
具体的な要素としては各部の入念な造りこみはもちろん、それぞれ新しい2Lガソリン(組み合わされるトランスミッションも新しいスタートギア付の変速幅の広いCVTだ)と2.5Lハイブリッドの搭載、2Lガソリンのアドベンチャーに付く後輪の左右コントロールも行う「ダイナミックトルクベクタリングAWD」をはじめとした3つの4WDシステムの採用などが挙げられる。
RAV4が売れている7つのポイント
現行RAV4の「売れる理由、魅力を挙げよ」と言われれば即座にいくつも浮かぶ。
(1)人気のミドルSUV
SUVブームのなか、いかにも売れそうな「オーソドックスなミドルSUV」というジャンルに属している(だから日本でも復活したのだろうが)。
(2)デザインがユーザーを惹きつける
SUVらしいワイルドなところもあるアウトドアなどに行きたくなるスタイルに加え、カーキや明るいブルーといったボディカラーもRAV4のキャラクターを際立てている。
(3)実用性に優れ芸が細かい
インテリアもオレンジなどのアクセントカラーが目を引く明るく楽し気な雰囲気で、質感も上々。リアシートやラゲッジスペースの広さも申し分なく、ラゲッジスペースのボードは裏返せば汚れても掃除しやすい樹脂製になるなどの芸も細かい。
(4)性能面で満足度が高い
2Lガソリン、2.5Lハイブリッドともに排気量以上にパワフルなのに加え、燃費も素晴らしい。
(5)3タイプの4WDはどれも実力充分
アドベンチャーのダイナミックトルクベクタリングAWDはもちろん、2Lガソリン、2.5Lハイブリッドともに標準の4WDシステムも後輪への駆動力配分を増やしており、高いスタビリティ(安定性)を持ちながらよく曲がるという安全で楽しいハンドリングを持ちながら、乗り心地も良好。
(6)装備充実でコストパフォーマンスが抜群
日本で買える車トップレベルの自動ブレーキや停止まで対応する先行者追従型のアダプティブクルーズコントロールなどから構成される安全パッケージ「トヨタセーフティセンス」を全車標準装備するなど、安全性も万全ながら価格は265万6500円からと全体的に納得できる。
(7)値引きが大きく買い得感が倍増
価格が安いうえに全店全車扱いとなっているトヨタモビリティ東京以外は3月までカローラ店とネッツ店扱いになるため、4月からの全国全店全車種扱いを前にした囲い込みを行うため値引きも大きく、買い得感が高かった。
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