■100年に一度の大変革をどう生きる!?
中村知美社長は冒頭「100年に一度と言われる変革の時代においても、スバルが長年培ってきたクルマ作りに対する姿勢は変わらない」と説明し、「そのスバルらしさを磨き、お客様にとってスバルがディファレントな存在となることを目指す」と続けた。
ここで中村社長が言う、「ディファレントな存在」とは、スバルの持つ個性に磨きをかけ、新しい価値を提案、提供していくということにほかならないだろう。
スバルはこれまでにも1989年に登場した初代レガシィでツーリングワゴンというカテゴリーを新たに開拓した。
1999年にはアイサイトの前身となる「ADA」を初めて市販車に搭載をして、20年にわたり改良、進化をさせて現在のレベルにまで性能を引き上げた。
2003年にアイサイトとネーミングされる以前の、この「ADA」と呼ばれたステレオカメラの時代には、車間距離警報、車線逸脱警報、ACC、カーブ警報/シフトダウン制御といった運転支援機能で、現在のような緊急ブレーキ制御はなかった。
当初は50万円という価格だったADAは装着率も低く、社内でも反対意見も多くあった一方、地道な開発が続けられ、現在では運転支援メカ=アイサイトと認知されるほどになった。まさに「安全という価値」を開拓したのだ。
スバルは交通死亡事故ゼロへ本気で取り組んでいる。航空機メーカーを原点とするスバルだからこそ、真摯な姿勢で、本気で死亡事故をゼロにするための取り組みを進めているといい、アイサイトはそのひとつであり、そもそも事故を起こさないための安全性の高いクルマ作りを目指している。
走行性能の引き上げ……というと、サーキットで速く走る……というイメージにつながりやすいのだが、ここで言っているのはそういうことではなく、ドライバーの意のままに反応してくれるクルマを作ることで、事故を未然に防ぐことができる、ということ。
視界のよさや運転のしやすさ、運転していて疲れないなども事故低減には効果がある。こうしたことも含めた、トータルでの「安全」を目指しているのだ。
その現時点での回答がインプレッサから採用されている新プラットフォーム「SGP」であり、進化を続けるアイサイトだ。安全に対するスバル独自の価値観は「ディファレント」となる。
脱炭素社会の実現に対する取り組みとしては以下の目標を掲げる。
・2030年までに全世界販売台数の40%以上をEV、ハイブリッド車とする
・2030年代前半には、生産・販売するすべてのスバル車に電動技術を搭載
・2050年に、Well-to-Wheelで新車平均CO2排出量を2010年比で90%以上削減
つまり、内燃機関のさらなる高効率化とハイブリッド技術、EV技術を急ピッチで高めていかなければならない、ということだ。EVは前述のようにトヨタとの共同開発で具体的に進行している。
ハイブリッドはというと、トヨタのハイブリッド技術(THS)をスバルのパワートレーンとマッチさせて開発を進めていることが明らかにされた。
スバルはあくまでも水平対向エンジンにこだわり、縦置きトランスアクスルによりAWDとすることで「スバルらしさ」を追求する。
ハイブリッドに組み合わせるエンジンは、当然高い熱効率が求められる。
まずは、ハイブリッドではないが、今年後半にデビューが予定される新型レヴォーグに搭載される新開発1.8Lリーンターボエンジンは熱効率40%を超える高効率エンジン。
将来的には45%を超える熱効率を実現することを目指しており、『スバルの水平対向は燃費が悪い』という声を払拭したいという。
EV、ハイブリッド化を進める一方、今後10年スパンではまだまだ60%は内燃機関車で勝負していくスバル。『ディファレント』の中核のひとつとなる水平対向エンジンにこだわりながらも、抜本的な高効率エンジン開発が急務であることは間違いない。
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