新型フィットがデビューして出だしは好調な販売をマークしている。そのフィットはガソリンモデルとハイブリッドをラインナップしているが、ハイブリッドはこれまでの1モーターから2モーターに変更され、通常時はモーターでの走行となる。
つまりシステムは違っても結果的に日産ノートe-POWERと同じと言っていい。
となれば、新型フィットハイブリッドとノートe-POWREは走らせてみてどっちがいいのか気になる。その疑問について松田秀士氏が考察する。
文:松田秀士/写真:HONDA、NISSAN、TOYOTA、SUZUKI、平野学
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ノートはe-POWERでコンパクトカー界を席巻
コンパクトカーにもハイブリッドが多く設定されている。トヨタが先鞭をつけたエンジンをモーターでアシストするタイプとなっていて、旧型フィットもそのタイプだった。
それに対し日産はエンジンとモーターを搭載するのは同じだが、エンジンは発電専用で駆動用には使わないシリーズハイブリッドをe-POWERとして2016年からノートに搭載。このe-POWERはセレナにも搭載されている。
ノートは2017~2019年の3年連続でコンパクトカーの販売台数ナンバーワンで2018年は登録車ナンバーワンに輝くなど大人気となっているのもe-POWERがあるからこそ。
ノートe-POWERは2016年のマイチェンで追加された。電気自動車のリーフのために作ったモーターなどのパーツを効率よく消化したいといった事情があっただろうが、e-POWERというわかりやすいネーミング、エンジニアの意向に関係なくマーケサイドがEVであると大々的に宣言したのが凄いところで最大の勝因だと思う。
新型フィットは通常時はモーター走行
いっぽうのホンダは新型で2モーターハイブリッドを新開発して搭載し、そのシステムはe:HEV(イー・エイチイーブイ)と命名されている。名称に関しては、呼びやすくてわかりやすいe-POWERの圧勝でしょう。
通常時の低中速走行はモーターで駆動するのはノートe-POWERと同じ。しかしノートがどんな速度域でもモーターのみの走行なのに対し、新型フィットは100km/h以上の高速走行ではエンジンで駆動する。
これは、モーターは高回転域ではそれほど効率がよくないため、ホンダはそれを嫌い、その苦手部分をエンジンでカバーしようというのがe:HEVで、ドライバビリティというよりも燃費向上のためのシステムだ。
加速感はどう違う?
まずそれぞれのスペックは以下のとおり。
■新型フィットe:HEV
1.5L直4DOHC(98ps/5600~6400rpm、13.0km/4500~5000rpm)+モーター(109ps/3500~8000rpm、25.8kgm/0~3000rpm)
■ノートe-POWER
1.2L直3DOHC(79ps/5400rpm、10.5km/3600~5200rpm)+モーター(109ps/3008~10000rpm、25.9kgm/0~3008rpm)
モーターに関してはほぼ同じスペックのモノが搭載されているのがわかる。
車重はFF同士で比較すると新型フィットが1180~1200kg、ノートが1190~1230kgとノートのほうが若干重いが大差はない。
実際に走らせてみると、スペックどおり明らかな優劣というものは存在せずどちらも気持ちいいくらい速いが、加速感はノートのほうが速く感じる。
これは発進時のモーターの起動トルクの立ち上げ方などのセッティングによるものだと思う。
ノートe-POWERを購入した人はその速さ、加速感への満足度が高いと耳にするが、新型フィットを購入しても満足度は高いはずだ。
ちなみに両車ともモーター特有の発進加速の小気味よさが魅力だが、ドーンと唐突に発信するわけではないので、ガソリン車から乗り換えても全く違和感がない。もっさりした感じが皆無で気持ちいいだけだ。
高速域はどうか?
ノートはどんな速度域でもモーターで走行するが、高速域ではやや厳しくなる。いっぽうフィットは100km/h以上でモーターからエンジンに駆動が切り替わるが非常にスムーズで違和感はない。
テストコースでフィットを走らせた時に180km/hくらいまでジワジワと加速。高速域の安定感はフィットに軍配と言ったところだろう。
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