【レクサスの救世主!? それとも共喰い誘発!??】レクサスNX 販売が乱高下な事情

NXは古いが人気は安定している

 以上のようにNXは、年を経るごとに売れ行きが大きく変化する。改良の影響があるとはいえ、年によって2000台から4000台、比率に換算して50%前後も乱高下するのは珍しい。

 売れ行きの浮き沈みが激しい背景には、レクサスにラインナップされるSUV同士の喰い合いがある。NXは2014年の発売直後には好調に売れて、2015年には前述のように1万8000台以上を登録した。

2015年にRXがフルモデルチェンジで刷新され、シーケンシャルウィンカーの搭載などで大きな話題となり、NXの販売にも影響を与えた

 2015年にはレクサスの上級SUVとなるRXが現行型にフルモデルチェンジを行い、この影響もあってNXの売れ行きは2016年から降下を開始した。

 前述のように2017年には9000台を下まわり、2018年の末にはコンパクトSUVのUXも登場して、2019年の前半も伸び悩んだ。

 それでもUXの需要はあまり長続きせず、2019年中盤以降は売れ行きが落ち着き、NXは再び堅調に売れるようになってきた。NXの登場が2014年と古いことを考えると、手堅い人気といえそうだ。

2018年末にレクサスの最も小さなSUVとしてUXがデビュー。扱いやすいサイズ、レクサスとしては手頃な400万円を切る価格も魅力で人気となった

NXの人気の要因はSUVとして最適なサイズ感

 そこで販売店に、NXの顧客の反応を尋ねた。「NXのボディサイズ(全長:4640mm/全幅:1845mm)は、SUVとしてちょうどいい。後席も広く荷物も積みやすいから、ファミリーカーにも適している。

 RXはボディが大柄で(全長:4895mm/全幅1895mm)価格も高い。UXはコンパクトで運転しやすいが、後席の足元空間や荷室が少し狭い。

 NXはちょうど中間的でいいところを取っており、幅広いお客様の間で人気が根強い」と説明した。

インテリアに並々ならぬこだわりを見せるレクサス。NXもミドルクラスSUVとして出色の豪華さを誇り、これもユーザーに人気が高い要因

 売れ行きが時々増えたり減ったりする理由は何か。

「例えばUXが発売されると、後席をあまり使わないお客様は、コンパクトで燃費の優れたUXで十分と考える。そのために売れ行きが一時的に下がるが、NXは機能のバランスがいいからお客様が再び戻ってくる。またNXは発売から5年以上を経過するが、CTなどと違って、安全装備を定期的に刷新している。機能に古さを感じさせないことも魅力だ。そして近年ではSUVがブームになり、NXの需要を支えている」という。

NXに古さはないがUXに新しさもない

写真は2014年にデビューした時の前期型エクステリアデザイン。グリルの中身のデザインが変更されたが、マイチェン後と大きく変わらない

 今はクルマのデザインが急速に進化する時期を過ぎて、安定成長期に入った。そのためにフルモデルチェンジを行っても、外観をあまり変えない車種が見られる。

 特にレクサスのようなプレミアムモデルのフロントグリルは、ブランド全体のコンセプトを変更しない限り、従来型の形状を踏襲する。そうなるとますます変化の度合いが小さくなり、新旧モデルの違いもわかりにくくなる。

 従ってレクサスNX(2014年登場)、RX(2015年)、UX(2018年)の外観を比べても、NXが古臭く感じたり、UXに新鮮味が生じることはあまりない。古さの生じやすい安全装備を進化させれば、市場に適したサイズのNXは堅調に購入される。

レクサス車はスピンドルグリルがアイデンティティとなっているが、これによりなかなかイメージが変えにくいため、古くはないが新しさもない

 その過程で、レクサスブランドに属するSUVの登場、あるいはNXのマイナーチェンジに応じて売れ行きに変動が生じるが、やがて元に戻る。

 ただし走行安定性や乗り心地を抜本的に進化させるなら、フルモデルチェンジが必要だ。NXは今では日本におけるレクサスブランドの中心的な存在だから、そろそろフルモデルチェンジを実施して、特に安全装備と走行安定性を大幅に引き上げてほしい。

【画像ギャラリー】レクサスUX、NX、RX、RLはプレミアムSUVの極み!!

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