レクサスは日本で人気が定着せず販売台数も増えずに苦戦を続けていたが、その苦境を救ったのがミドルクラスSUVのNXであると言っても過言ではない。
2014年にデビューして以来、レクサスの屋台骨を支えてきたNXは、なぜか販売が乱高下する傾向にある。価格を考えると終始健闘しているように映るが、2020年に入って前年に比べて販売台数の低下が顕著だ。
レクサスNXの販売動向を通して、なぜ販売が乱交化するのかを渡辺陽一郎氏が考察する。
文:渡辺陽一郎/写真:LEXUS、ベストカー編集部
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レクサスの販売台数は過去9年間で約2倍!!
トヨタの高級車ブランド、レクサスは1989年に北米で発足して、2005年に日本国内でも営業を開始した。従って2020年には、レクサスの国内開業から15年を経過する。
レクサスの1年間の国内登録台数は、開業の2005年から2010年頃までは、3万台から4万台弱で推移していた。
2010年代に入ると、安定的に4万台を超えるようになった。2016年には5万台を上まわり、2018年には5万5000台に達して、2019年には6万台を超えている。
2010年におけるレクサスの国内登録台数は3万3000台、2019年は6万2000台だから、過去9年間で2倍近い急増となった。
いっぽう、国内市場全体の販売総数は、2010年が495万6000台、2015年は504万6000台、2019年は519万5000台だ。増加傾向ではあるものの、2019年の実績は2010年の105%になる。レクサスは188%だから、明らかに伸び率が大きい。
NXは人気モデルだが販売が乱高下
ここまでレクサス車の売れ行きが増えた理由は、主に人気のカテゴリーとされるSUVを中心とした取り扱い車種の充実だ。
2010年に設定されていたレクサスのSUVはRXのみだったが、この後に、NX、LX、UXを加えた。セダンではHSを廃止したが、2018年にESが加わって堅調に売れている。
レクサスの登録台数を輸入プレミアムブランドと比べると、メルセデスベンツよりは低い。そうなると国内市場でレクサスが成功したか否かの判断は難しいが、車種のバリエーションと登録台数は着実に増えてきた。
この右肩上がりの状況で、売れ行きが不安定なのがNXだ。NXは2014年に発売され、RXよりもコンパクトなミドルサイズのボディで人気を高めた。発売の翌年となる2015年には、1万8000台以上を登録して、レクサスの最多販売車種になった。
この後に売れ行きは下がり、2017年には9000台を下まわってしまう。ところその後、2019年の登録台数は再び1万3000台以上に増えた。これは2019年4月に発表された改良の効果が大きい。
衝突被害軽減ブレーキは性能をさらに高めて、昼間の自転車や夜間の歩行者も検知できるようになった。レーダークルーズコントロール作動時に、操舵を支援するレーントレーシングアシストなども加わり、運転支援機能の性能も高まった。
そして直近の2019年12月/2020年1月の登録台数は、1000台を下まわっている。
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