躍動感のあるデザインの採用
ボルボ好調は持ち前のイメージのよさに加えて、いくつか要因が考えられる。そのひとつがデザインだ。
かつてボルボはデザイン的にはあまり評判がよろしくなかったのは否めないが、2010年頃から方針を転換し、躍動感のあるデザインを取り入れるとともに、スポーティなR-DESIGNを訴求したことなどが功を奏してイメージは大きく変わった。
さらには2016年に登場した2代目XC90から始まった新世代のボルボは、それまでのダイナミックさとは異質のエレガント路線に舵を切ったのも成功した。最近とりわけ評判がよいのが、流麗なラインを描くS60のリアビューだという。
外見だけなく北欧ならではの雰囲気を巧く表現したインテリアの評判も非常によい。
徹底したダウンサイジング戦略
また、世の中がダウンサイジング指向となるなか、2L以下で4気筒以下のエンジンしか作らないという方向性を明確に打ち出したのもよかった。
他のプレミアムブランドでは2Lの4気筒エンジンというのはどうしても廉価版的な印象があるのに対し、ボルボの場合はそれがない。さらには出来のよいディーゼルのラインアップを日本市場でもいちはやく充実させたことも賢明だった。
リーズナブルな価格も魅力的
プレミアムカーは特定のブランドを乗り継ぐユーザーが少なくないが、いっぽうでは買い替えのタイミングでブランドを問わず出来のよい車種を探して渡り歩くユーザーも少なくないというが、ボルボはそうしたユーザーにも大いに受け入れられた。
それには件のデザインのよさや安全性の高さに加えて、ドイツの競合勢にもひけをとらないブランド力を持ちながら価格がリーズナブルであることも効いたようだ。
SUVが販売を後押し
近年はSUVが好調だ。ボルボ全体のグローバルの最量販モデルはXC60で、2019年には前年比は9.4%増過去最高となる20万4965台を販売した。
新世代のボルボを象徴する美しい内外装デザインはもちろん、優れた快適性とこのクラスのSUVに求められる機能性を高い次元で併せ持つことが世界中のユーザーに支持されているからにほかならない。
日本ではボディサイズの小さいXC40のほうが売れている。2019年の世界販売台数は13万9847台だ。
こちらも高い基本性能はもとより、ブルドックをモチーフにしたという独特のスタイリングや、これまで硬いイメージの強かったボルボとしては意表を突く遊び心のあるインテリアも受けている。
日本導入当初より人気が高く受注が殺到したが、日本向け車両の生産割当の問題で納車まで時間を要する期間が長らく続いたほどだった。
新世代ボルボの皮切りとして登場したSUVのフラッグシップであるXC90も、登場から時間が経過していながらも2年連続で伸び、前年比7%増の10万729台と根強い人気を見せる。
こうしてすべてのモデルで前年を上回る販売台数を達成しているのはたいしたものだ。
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