2025年のホンダ プレリュード復活で注目されている「クーペ」。青春をクーペと共に過ごした昭和世代はもちろん、令和の若者たちにもクーペは気になる存在のようだ。バブル期に青春を過ごしたご存知清水草一氏が「俺のクーペ史」を語る!!
※本稿は2026年2月のものです
文:清水草一/写真:トヨタ、日産 ほか
初出:『ベストカー』2026年3月26日号
清水氏のハートを撃ち抜いたクーペ
免許を取って最初に乗ったのは、姉のサニークーペ(3代目の中古)。その次は初代ガゼール。『西部警察』で木暮課長が乗っていたモデルである。当時の私は、クルマについて何の知識もなかったが、ガゼールはもの凄くカッコよく見えた。
その裏には、ちょうどその頃登場した初代ソアラの影響があった。とにかく初代ソアラは凄まじくカッコよかった! 2.8Lツインカム6の170psというスペックにもシビレまくったが、さすがにソアラは買えないので、似たような直線基調のノッチバッククーペである初代ガゼールが現実的な選択だった。
ソアラとガゼールがベースとなり、私の脳内で「カッコいいクルマ」のデザイン概念が形成されていった。それは、速そうな形をした直線基調のクーペだ。
当時はダルマセリカや初代サバンナRX-7など、丸みを帯びたクーペもあって人気だったけど、私は直線基調派だった。
あの頃のクーペは圧倒的にカッコよかった
当時の青年たちは、とにかく速そうな形をしたクーペに激しく憧れていた。それは間違いない。なにせクルマと言えば、セダンかハッチバックかクーペしかなかったみたいなもんだったし。まだステーションワゴンもミニバンもSUVも、影も形もなかった。
セダンはオッサンが乗るもので、ハッチバックはちっちゃくて安いクルマ。クーペこそ、この世で圧倒的に断然カッコいいボディスタイルだったのである。
私の初代ガゼールは、同級生たちの間でも人気があった。理由は「速そうだから」。
「この窓(フロントウィンドウ)の傾斜、すごいよね。これなら速いでしょ」。
そんな風に誉められた。んなワケないんだけど、あの頃は、速そうに見えることが最も重要。だからクーペの天下だったのだ。
ガゼールに乗っている間に、次の憧れはR30スカイラインターボRSに移行した。これもやっぱり直線基調のクーペ。当時はスペックがすべてだったので、ツインカムターボは無敵のメカで、ソアラの2.8Lツインカム(ノンターボ)より格上だったのである。
【画像ギャラリー】おじさん感涙のサイドデカールに注目!! 往年のクーペを一挙に(24枚)画像ギャラリー女性たちも同じくクーペが大好きだった
そして私が最後に買った国産クーペは、Z32フェアレディZだ。これは丸みを帯びたハッチバッククーペで、直線基調じゃなかったけど、当時の私はようやく曲線美が理解できるようになったのだろう、たぶん。
比較検討対象は、R32スカイラインGT-R。一瞬悩んだけど、Zのほうがカッコいいと思ったのでそっちにした。当時の私は、「速そうなカッコ」と「スペック」でクルマのすべてを判断していたが、どっちが優先かと問われれば、カッコのほうだった。
それは、当時の多くの青年たちも同様だ。本当の速さより、速そうなカッコが最優先だった。
そして決定的なことは、当時の女性たちも同じく、速そうなカッコのクーペ(の助手席)が大好きだったという事実である。
若い男女は、カッコいいクーペでデートすることがなによりのステイタス。その風潮がデートカーブームを生んだわけだが、当時の我々は本気だったし、必死だった。
なぜって、カッコいいクーペに乗ってないと「負け」だったから。2025年のプレリュード復活に、我々が異常なほどコーフンしたのは、その刷り込みだろう。
Z32やR32、FD RX-7、70スープラ、そしてNSXあたりを頂点に、日本のクーペブームは徐々に退潮へと向かった。
その後クーペは、ゆっくりと「狭くて不便なだけのクルマ」と認識されるようになったが、40年経って時代が完全に一回転したのか、プレリュードの復活に、予想を超えて中高年が熱狂した。
新型Zよりも新型プレリュードに対する熱狂のほうが若干デカかった(ような気がした)のは、我々世代の“カッコつけクーペ”に対する、思い入れの強さゆえではないだろうか?
中高年のクルマ好きにとっては、「超本気じゃないくらいの速そうなカッコ」はストライク! 実際はそんなに速くないほうが、胸にグッとくるくらいだ。それが俺たちの初恋の相手だから。
【画像ギャラリー】おじさん感涙のサイドデカールに注目!! 往年のクーペを一挙に(24枚)画像ギャラリー



























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