■自動車評論家 国沢光宏はフィット派?ヤリス派?
結論から書くと、私はフィットもヤリスも買おうと思わない。したがって“派”という表現だと「どっちでもありません」になる。強いていえばヤリスGR派なんだけれど、今回関係ありませんワな。
ということで“派”じゃなく、自動車評論家として軍配を上げてみたいと思う。例えばカー・オブ・ザ・イヤーならどちらに高い点数を付けるか、といい替えてもいい。まず最初に考えるのが「コンパクトカーのニーズ」。ユーザーから期待される性能と言い替えればわかりやすいかも。
いうまでもなくコンパクトカーって「主食」である。輸入車や高額車のような一点豪華主義じゃなくバランス/実用性能だと思う。レーダーグラフを作ると、フィットの圧倒的優位なポイントはキャビンスペース。ヤリスでいえば実用燃費でしょう。
ハンドリングや乗り心地、安全装備などそのほかの評価項目についちゃ僅差で勝ったり負けたりでいい勝負かと。ここまで読むと「大差ないということ?」みたいに感じるかも。ところが、でございます。
ヤリスには弱点がある。リアシートの居住性と、ACCにノロノロ渋滞モードを持っていないことである。フィットは大きな弱点がないと思う。燃費で少し負けるものの、それでフィットを諦めるほど悪くない。
コンパクトカーとして評価するならフィットのほうが高い点数を取れるということ。
もちろん最終的な判断はユーザーによって違うだろう。ちなみに文頭の「カー・オブ・ザ・イヤー」だけれど、ヤリスGRもヤリスに含まれるならまったく話は変わってきます。
●結論…あえて挙げれば“フィット派”
コンパクトカーは「主食」。人に薦めるなら、バランスに優れたフィットを薦めたい。フィットには大きな欠点がない
■自動車評論家 渡辺陽一郎はフィット派? ヤリス派?
「アナタはどっち派?」といった原稿を頼まれた時、最優先させるのは「どっちがいい内容になるか」だ。本当の好みとは選ぶクルマが異なる場合もある。
その意味でフィットを選ぶ。ヤリスに比べて、さまざまな機能をバランスよく高めたからだ。例えば後席の広さ。ヤリスは後席の足元が狭く、身長170cmの大人4名が乗車して、後席に座る乗員の膝先空間は握りコブシ1つ少々だ。
その点でフィットは、同様の測り方で握りコブシ2つ半が収まり、後席はミドルサイズセダン並みに広い。大人4名が快適に乗車できる。
フィットは燃料タンクを前席の下に搭載したから、荷室の床も低く、後席を畳むと大容量の空間になる。その結果、全長が4000mm以下で、全高を立体駐車場が使いやすい1550mm以下に抑えたコンパクトカーでは、後席と荷室が最も広い。
車間距離を自動制御できるクルーズコントロールは、ヤリスの場合、速度が時速30km未満まで下がると解除される。レバー式のパーキングブレーキが影響した。その点でフィットは電動式だから、全車速追従型にできた。追従停車したあと、停車時間が長引いた時は、パーキングブレーキを自動的に作動させる。
乗り心地はヤリスの14インチタイヤ装着車は硬めだが、フィットは比較的快適だ。ヤリスは後方視界が悪いが、フィットは前後左右ともに見やすい。以上のようにフィットは、コンパクトカーを必要とする多くの人たちにとって馴染みやすく、推奨度も高い。個人的にはヤリスの軽快な走りが好きだが、仕事上ではフィットを推奨する。
●結論…“フィット派”
仕事上の立場からクルマを評価すれば、フィットの後席居住性や使い勝手はヤリスを大きく上回る
コメント
コメントの使い方