■自動車評論家 小沢コージはフィット派? ヤリス派?
つくづく企業フィロソフィーや戦略の違いが商品に明確に表われる時代になった気がする。個人的には断然フィットが面白い。ヤリスは燃費も走りも凄いが、コンセプト自体は王道中の王道。ある意味トヨタ的で古くささすらある。
イマドキ、小さく凝縮した肉感的フォルムに、卓越した走りを目指すなんてガチな欧州車指向。ここにはもちろんトヨタ独特の事情があって、トヨタは来年あたりにアクアを出すし、そっちが日本向けコンパクトの主流になるので、ヤリスはより個性的な欧州味に振ることができた。日本では一部の好き者客が取れればいいわけで、受注3万7000台はけっこう拾いモン。トヨタの強力な販売力と客層あってこその結果だろう。
かたやホンダは最近の不調に焦っていて、フィットは失敗できないガチな巻き返し勝負。それでいて戦略はリスキーかつ大胆。なにしろこれまでフィットが売りにしていたスペース性や燃費で大きな勝負に出ず、新しい愛の戦略を取ったのだ。
それこそが「視界」「乗り心地」「座り心地」「使い心地」の四つの心地よさを目指したクルマ作り。どれも見た目やスペックに出にくく、料理でいえば味、香り、歯ごたえみたいな本質勝負。確かに大切な要素だが、それ以上に「ゴルフバッグが入ります」、「子どもが立って着替えられます」のがわかりやすかった。
トヨタは今後も成長し続けるだろう。しかし、ホンダはわりと岐路だ。このフランス車的な愛の戦略が失敗したら、特に国内では軽メーカーの烙印が押される。ステップワゴンもオデッセイもイマイチ。フィットこけたらあとはナシ。今はこの大バクチを応援したい。
●結論…“フィット派”
ガチなヨーロッパ車的ヤリスより新たな価値観で勝負を挑んだフィットを応援したい!
■自動車評論家 清水草一はフィット派? ヤリス派?
フィットかヤリスかについては、ベストカー本誌の連載でも取り上げてるけど、ガワがフィットで中身がヤリスHVだったら文句なし! なんだよね……。でも、もちろんそんなクルマは売ってない。究極の選択として、フィットとヤリスどっちかを選ばなきゃいけないとしたら……。
う~~~~~ん!
自分としては、ヤリスの見た目と内装はどうしても我慢できない。見た目については、デザイン的にレベルが低いかっていうとそうじゃないんだけど、あまりにもくどすぎて、自分の口には合わなすぎる。
パンクファッションがダメっていうわけじゃないけど、自分が着るのはイヤ! っていう感じ。加えて内装のショボさ、安っぽさ、センスのなさにはビックリする。
その点フィットは、見た目は適度に好感が持てるし、なによりもボディカラーにイイのが多い。内装もセンスがイイ! 国産コンパクトのなかでは一番かも。
我が家にはシトロエンDS3っていうコンパクトカーがあるんだけど、コレの一番の美点は内装だ。いろいろ欠点はあるけど、内装がいいから許せてしまう。
でも、ヤリスHVの走りの楽しさはハンパない破壊力だった……。でも、でもでもあの見た目と内装はイヤ! あれをコミコミ300万円近く払って乗るなら、今のDS3でイイ! ってなっちゃう。フィットもいいけれど、あえてDS3から買い替えたくなるほどじゃない。
結局自分は、どっちでもないほうに入るってことだろう。ヤリスの走りは本当に惜しいけど。
●結論…“どっちでもない派”
あえてどっちかといえばフィットだけど、ヤリスの走りの楽しさは否定しがたい。フィットのほうが総合力は高いと思う
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