マツダは2020年5月26日、フェイスシールドの広島県への納入を発表。併せて、その生産工程をオンラインでメディアに公開した。
文/編集部
写真/MAZDA
■クルマ作りの技術を活かしたこだわりのフェイスシールドフレーム
今回納入するフェイスシールドは、ツバやツルの部分となるフレームと、実際に顔を覆う透明のシールドフィルムのふたつのパーツからなるが、マツダはフェイスシールドのフレーム部分を担当し、石井表記がシールドフィルム部分を担当。新型コロナウイルスの対応に尽力する地域の医療機関に供給する。
タッグを組んだ石井表記は、アクセラやCX-5のナビパネル部分を製造している企業で、シールドフィルムは細かな作業時にもストレスなく利用できる、高い透明度を実現しているという。
技術本部長 安達範久氏によると、製造を行なっているのは実験や研究を行なう生産技術の開発棟。生産は3Dプリンターなどではなく、金型を使った射出成形機で行い、材料はマツダ車のバンパーにも使用されているポリプロピレン(PP材)を用いて、耐久性やフィット感を持たせているという。
フェイスシールドの生産は広島県の要請を受けて、2020年4月中旬からスタート。フレームの金型は、マツダ社内の設計・製作部門がこれまでの知見とシミュレーション技術などを活かし約1週間で製作。新型コロナ禍の影響でオンラインで石井表記との共同開発を進め、約1カ月で供給に至った。
アフターコロナを想定したものを作ろうと、早さだけでなく機能性を求めて開発したというフェイスシールドは、当初フレームとシールドフィルムをステープラー(ホッチキス)でとめる案も出ていたが、外れた際に医療機器に入り込む危険を考慮し、スリットにはめ込む形状を採用したという。
また、後頭部に位置する部分をゴムなどで固定できる仕様を採用し、利用する人の好みの装着感に微調整できたり、医療現場だけでなくマツダの生産現場でも使用することを想定し、つば付きの帽子と併用できる形状とするなど、随所に工夫が凝らされている。
専用設計された金型を使用することで、ふたつのフレームを一度に生産可能で、1日の生産量としては600~900個。金型から取り出されたフレームは、作業者によって余計なゲートやランナーを取り除かれ、皮膚に触れた時にケガなどしないようにサンドペーパーで仕上げられたあと、クリーンルームで全数検査、洗浄液で洗ったあとアルコール消毒され、4個1セットで梱包されて出荷される。
今週末までに、初回分の約3000個を広島県を通じて地域の医療機関へ納入。その後のスケジュールは未定だが、継続的に広島県に納入するとともに、マツダの工場や関連企業などにも納品を検討しているとのことだ。
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