■2000年代’s Best…日産 GT-R(2007年)
●次点 三菱 ランサーエボリューションX(2007年)
2002年夏、地球にやさしくないスポーツモデルは生産終了に追い込まれている。しばらく歯ごたえのあるスパルタンモデルは出てこないだろう、と思っていたが、2007年秋に異次元の速さを秘めた日産GT-Rが鮮烈なデビューを飾っている。
エンジンはVR38DETT型と名づけられた専用の3.8LのV型6気筒DOHCツインターボだ。
これにゲトラグ製のツインクラッチ6速DCTを組み合わせた。先代の2倍の馬力だから驚くほどパワフルで、高回転の伸びとパンチ力も文句なしである。
ハンドリングも4WDとは思えないほど軽やかだ。が、初期モデルは尖った性格で、乗り心地も荒々しかった。不用意にアクセルを開けると簡単にホイールスピンを起こしたし、操舵フィールも精緻さに欠ける領域がある。
同じ年に誕生したランサーエボリューションXも刺激的な4WDスポーツだ。
エンジンは全域パワフルで、実用域のトルクも豊かだから扱いやすいと感じる。三菱独自のS-AWCも制御が絶妙だ。
が、性能を引き出しやすいので、限界を超えた時や路面のミューが変わった時はフロントの重さを感じさせ、動きがナーバスになる。こうなると修正するのが難しい。そんなクルマだった。
■2010年代’s Best…スバル WRX STI tS タイプRA(2013年)
●次点 ホンダ シビックタイプR(2015年)
3代目インプレッサWRX STIの最終モデルとして、2013年夏に300台が限定販売されたのがtS タイプRAだ。
熟成の域に達したEJ20型水平対向DOHCターボエンジンは308psを発生し、8000回転を超えてもパワーがほとばしる。
ハンドリングもキレのいいものだった。11:1のクイックなステアリングギア比を採用し、俊敏な走りを手に入れている。
また、ボディに補強パーツを組み込み、リアのリンクはピロボール構造とした。だから高速コーナーは得意で、気持ちよくクルマが向きを変える。
4輪のスタビリティ能力は驚くほど高い。ただし、パワフルだから調子になりすぎると痛い目に遭う。
2015年夏にベールを脱ぎ、限定発売された4代目のFK2型シビックタイプRは痛快なFFスポーツだ。
ニュルブルクリンクの量産FF車最速を誇り、当時の2Lモデルで最強の310psを絞り出した。
エンジンは2LのK20C型4気筒DOHCスクロールターボで、レスポンスは鋭いし、高回転の伸びも素晴らしい。6速MTも小気味よく決まる。
トルクステアを上手に抑え込んだ意のままのハンドリングもみごとだ。が、限界レベルは驚異的に高いから、本気で攻めると疲労困ぱいになる。体力が要求される硬派だ。
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