トヨタがランドクルーザー70を再販する可能性はあるのか?

再販すれば確実に売れるがその可能性は低い

 ランドクルーザー70シリーズに関する今後の動向をトヨタ店に尋ねると、

「Lサイズのランドクルーザーは、2021年にフルモデルチェンジするが、70シリーズを復活させる話は聞いていない。一度復活した時も、30周年記念だったためで、いわばイベントのひとつだった」

 というコメントが返ってきた。そして以下のように続けた。

フロントマスクはマイチェンにより洗練されたが、真横から見ると昔ながらも武骨さが残っている。ベンツGクラスに通じるヘリテイジを感じさせる
フロントマスクはマイチェンにより洗練されたが、真横から見ると昔ながらも武骨さが残っている。ベンツGクラスに通じるヘリテイジを感じさせる

「70シリーズの人気は、今でもきわめて高い。再び販売しないのか、という問い合わせも受ける。今では以前の復活から5~6年を経過したので、この時に購入された70シリーズのお客様が、改めて新車で手に入れたいと考えている事情もある。今後再び70シリーズを販売すれば、好調に売れるだろう」

 このコメントからも、70シリーズが日本で復活する可能性は、客観的に考えると低い。

 現在南アフリカで売られているランドクルーザー76/79の内容を見ても、VSC(横滑り防止装置)は採用されていない。

 改めて日本で販売するには、歩行者保護要件の対応なども含めて、現在の保安基準に適合させたり、先進の安全装備も装着せねばならない。

基本設計が古いランクル70の泣きどころは安全装備。運転席&助手席エアバッグは装着されているが、横滑り防止装置も装着されていない
基本設計が古いランクル70の泣きどころは安全装備。運転席&助手席エアバッグは装着されているが、横滑り防止装置も装着されていない

今後SUVが増えると必要な選択肢となる

 しかし70シリーズには注目される性能もあり、現行型はV型8気筒4.5Lのディーゼルエンジン(1VD-FTV型)を搭載している。

 最高出力は205ps(3400rpm)、最大トルクは43.8kgm(1200~3200rpm)だから、低回転域の駆動力は抜群に高い。

 副変速機をローレンジにシフトして、5速MTは2速に入れ、1600~2000rpmを維持しながらデコボコの激しい悪路を登っていく。考えただけでもワクワクするようなオフロード走行が期待される。

ランクル70はオフロード性能に特化していてガレ場、泥濘路、低μ路など路面状況を問わず優れた走破性、登坂能力を持っていて今でも健在
ランクル70はオフロード性能に特化していてガレ場、泥濘路、低μ路など路面状況を問わず優れた走破性、登坂能力を持っていて今でも健在

 ランドクルーザー70シリーズは、今の日本の使用環境にはまったく合わないが、今後SUVがさらに増えると、必要な選択肢にもなるだろう。

 乗用車のプラットフォームを使ったシティ派が増えると、先に述べたRAV4やライズのような悪路向けの雰囲気が好まれ、硬派の70シリーズにも目が向くからだ。

 また以前からSUVに乗り続けているユーザーは、流行に乗って購入したと思われたくない。SUVが街中に溢れると、普通のユーザーでは手に余るようなSUVに乗りたい気分にもなるだろう。

 そして何より「必ず帰ってこられるクルマ」というコンセプトは、自動車の本質を突いている。このコンセプトを備えるだけでも、ランドクルーザー70シリーズには、所有する価値があると思う。

ランクルシリーズのフラッグシップの現行200系は、2021年春から夏にかけてフルモデルチェンジすると予想している
ランクルシリーズのフラッグシップの現行200系は、2021年春から夏にかけてフルモデルチェンジすると予想している

【画像ギャラリー】世界中で長く愛され続けているランドクルーザー70日本で再販された30周年記念モデルをじっくりと見る!!

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