新型アリアのライバルや価格帯は?
走行性能を高めた輸入SUVには、ジャガー Iペース「S」が976万円、メルセデスベンツ EQC400・4マチックは1080万円という具合に用意されるが、国産の電気自動車としてアリアの700~900万円は最高価格帯に位置する。
900万円を上まわる日産車は、GT-Rとシーマの一部グレード程度だ。価格が1000万円に近付くと、数年後の売却額も重視される。
例えば新車価格が800万円の場合、数年後の残価率(新車価格に占める残存価値の比率)が10%変われば、売却額が80万円上下する。残価率の低い、つまり売却時の価格が下がりやすい車種は、資産価値も低下するから敬遠される傾向が強い。
この点で電気自動車は不利だ。リーフe+「G」で残価設定ローンの見積りを取ると、4年後の残価率は新車時の32%だ。
セレナe-POWER「ハイウェイスターV」の4年後は51%だから、リーフe+Gは大幅に下がる。これは電気自動車を中古車市場で再販売しにくいことを意味する。
アリアはリーフとは車種が違うから、数年後の売却額が大きく下がるとは限らないが、新車で購入したら長く乗るつもりでいた方が良い。
経済産業省によるクリーンエネルギー自動車の補助金交付を受けると、処分制限期間が設けられ、小型/普通乗用車は4年間売却などができない。
そこで5年後以降に売却すると、金額が大きく下がる可能性があるわけだ。逆に中古車は、発売からしばらく時間を経過すると割安に買えるだろう。
アリアは日産らしい「エコだけじゃない電気自動車」に
以上の点を考慮すると、アリアは日産の電動化技術を象徴するイメージリーダーカーに位置付けられる。
価格は高く、補助金交付額も電気自動車の上限は40万円(2020年度実績)に留まる。資産価値の保全でも不利だから、損得勘を考えると大量に売られる商品ではない。
その代わり前後に搭載されたモーターによって加速には迫力が伴い、4輪の駆動力とブレーキを綿密に制御して、機敏なコーナリングも満喫できる。
今のクルマの操舵感は、安全性も考慮して自然な反応に仕上げることが多いが、アリアは少し玩具的というか運転を面白く楽しめるセッティングにするだろう。
要は「電気自動車はこんなに楽しい」「電気自動車なら今までのエンジン車と違ってここまでできる」といった一種のサプライズを味わえる。
日産というメーカー、電気自動車というカテゴリー、あるいは個性的で楽しい運転感覚が好きな人に、ピッタリのクルマに仕上げられる。
エコロジーの代表とされる電気自動車と、その対極に位置するスポーツカーの要素を融合させたSUVが、アリアというわけだ。
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