日産初となるSUVの電気自動車「アリア」が、いよいよ7月15日に世界初公開となる。
これまでも日産はリーフを発売するなど、国産メーカーとしてEVを牽引してきたが、よりパワフルで四輪をモーターで駆動させるSUVのアリアは、それとは一線を画し、いままで国産車になかったEVの登場となる。
果たして画期的なSUVの電気自動車に勝算はあるのか? 正式発表を前に占った。
文:渡辺陽一郎、写真:日産、ジャガー、平野学、奥隅圭之
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新型アリアはe-POWERも含む日産電動車の中核
日産は2020年3月の連結決算で、6712億円の赤字に陥った。残念なことだが、今後の展望は期待される。
赤字の理由に、新型車の減少と商品の高齢化が取り上げられ、今後は以前に比べると新型車を活発に発売する方針が打ち出されたからだ。
これから登場する日産の新型車で、特に注目されるのは、7月15日にワールドプレミアとなるアリアだ。人気のカテゴリーとされるSUVの電気自動車になる。
今は二酸化炭素の排出量や化石燃料の消費量を抑えるため、燃費規制の対応も含めて各メーカーとも電動化に力を入れる。
日産は2010年に世界初の量産電気自動車となるリーフを発売して、2017年には2代目の現行型にフルモデルチェンジした。
今は生産を終えているが、商用車のe-NV200もある。ハイブリッドのe-POWERは、ノート、セレナ、キックスと搭載車を増やした。
このように日産は、時代の流れに沿って、電気自動車とe-POWERのラインナップを充実させている。電気自動車でSUVのアリアは、その中核に位置する存在だ。
新しい電気自動車の走りに期待
アリアは前後にモーターを搭載して4輪を駆動する。動力性能を合計したシステム最高出力は309馬力、最大トルクは69kgmと強力だ。
一般的な4WDでは、センターデフや多板クラッチを介して、駆動力を前後輪に伝える。そこをアリアでは、モーターを前後別々に搭載するから、前後輪の駆動力配分を一層積極的に変化させることが可能になった。
4輪独立式のブレーキ制御も行われ、操舵角に応じて、カーブを正確に曲がることができる。峠道などを走っても、旋回軌跡を拡大させにくい。走行安定性も優れ、機敏に曲がるスポーティな運転感覚と、安心感の高い危険回避性能を両立させる。
これはアクセル操作に対して素早く反応する強力なモーターを、前後に搭載するから可能になった制御だ。アリアならではの新しい電気自動車の走りが誕生する。
このような性格のクルマだから、アリアの価格は高くなりそうだ。おそらく700~900万円に達するだろう。
ちなみに現行リーフの価格は、62kWhの駆動用リチウムイオン電池を搭載するe+Gが499万8400円だ。40kWhの仕様に比べて動力性能を高め、なおかつ1回の充電で走行できる航続可能距離は、WLTCモードで458kmとされる。
アリアは、全長が4600mm、全幅は1920mm、全高は1630mmというボディサイズのSUVで、モーターを前後に搭載する。そうなるとリーフe+「G」と同等の航続可能距離を達成しようとすれば、容量のさらに大きなリチウムイオン電池を搭載せねばならない。
2つのモーターを制御して、リチウムイオン電池容量も拡大すれば、価格はリーフe+Gに比べて少なくとも200万円は高まるだろう。
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