2020年6月8日に、新たにラインナップに加わったトヨタ「RAV4 PHV」。販売好調だったということで、登場から1カ月経たない6月末時点で2020年度内の生産枠が埋まり、その納期は「2021年4月以降になる」とアナウンスされた。
ただその理由を見てみると、「新規搭載のバッテリーの生産能力を大幅に上まわった」とある。もともとトヨタから発表されている生産数が少ないモデルではあるが、生産枠をそれほどまでにオーバーする受注があったのだろうか?
今回は、販売現場そしてメーカーへの取材で明かされた生産一時停止の事情と、これまでに登場したPHEVではなかった好調な売れ行きとなったワケを分析していく。
文/渡辺陽一郎
写真/TOYOTA、編集部
【画像ギャラリー】これまでのPHVにはなかったハイパフォーマンス! RAV4 PHVの魅力を詳しく!!
■バッテリーが足りない!? 明かされた理由で浮かぶ生産に関する疑問
2020年6月8日に発売されたトヨタ「RAV4 PHV」のホームページを見ると、2020年7月上旬時点で「RAV4 PHVは現在、ご注文を一時停止させていただいております」と注意書きが記載されている。
販売店に尋ねると以下の返答であった。
「RAV4 PHVの納期は、2020年7月上旬に契約をいただいても、2021年4月以降になる。2020年度の生産枠はすべて使い切り、次年度の生産だ。そのために現時点で正確な納期はわからない」
RAV4 PHVは前述のとおり、2020年6月8日に発売されたばかり。発売から1カ月弱で、1年近い生産枠を使い切ったのか? この点も尋ねた。
「RAV4 PHVは、大量に売れている実感はないが、生産規模も小さい。そのために生産枠を使い切った。RAV4のノーマルエンジン車と、プラグインではない普通のハイブリッドは、注文から2カ月で納車できる」
RAV4 PHVの月販目標は300台だ。そうなると今年度計画の残り9カ月には2700台の枠がある。しかしメーカーに取材すると、そこまでの受注は獲得していないらしい。つまり実際の生産枠は、月販目標の300台を下まわり、納期が10カ月以上に長引いた。
RAV4の売れ行きが好調なことも影響している。RAV4の2020年1~6月の1カ月平均登録台数は4536台だ。4~6月は、コロナ禍の影響で国内販売台数の対前年比は23~45%減ったが、RAV4は堅調に売れた。月販目標の3000台も上まわっている。そこまで考えると、RAV4 PHVの1カ月の目標が300台では少ないかも知れない。
RAV4 PHVのホームページを見ると「ご注文を一時停止させていただいております」という文言の下に「現在新規搭載のバッテリーの生産能力を大幅に上まわるご注文をいただいております」という記述もある。
これは余計だろう。「バッテリーの生産能力」など、納車を待たされるユーザーの知ったことではないからだ。言外に「バッテリーを生産しているサプライヤーの能力が低いもので……」と責任転嫁しているようにも聞こえる。「生産能力を大幅に上まわるご注文をいただいております」とだけ書けばいい。
この点をトヨタに尋ねると「サプライヤーに責任転嫁する意図はない。生産が遅れている理由を正直に説明すべきと考えた。ちなみに現時点でバッテリーを生産するのは、トヨタとパナソニックが合弁で立ち上げたプライムプラネットエナジー&ソリューションズだ。トヨタの合弁会社だから、サプライヤーの責任転嫁には相当しない」と返答した。
コメント
コメントの使い方