本州は梅雨真っ只中となっているが(2020年7月2週目の九州地方豪雨の被害に遭われた方にはお見舞いを申し上げます)、7月中旬になり梅雨が明けるとやってくるのが夏本番である。
2020年は梅雨入り前でも30度を超える真夏日が何度かあり、夏本番には猛暑が予想されているが、夏場クルマに乗っていて気をつけなければならないのが駐車中の温度上昇だ。
当記事では晴天時の車内の温度上昇の恐ろしさと、それに伴い注意すべき点を改めて紹介していく。
文/永田恵一
写真/Adobe Stock(tiagozr@Adobe Stock)、編集部
【画像ギャラリー】気温30度以上の真夏日に 高温の車内がいかに危険か!! 実験結果から知ろう!
■晴天で快適な気温での駐車中、車内の温度はどうなる?
JAFでは外気温が23度から24度という人間が快適に過ごせる晴天の中での車内の温度上昇を、2019年5月に関東地方で計測し公表している。
このテストでは軽スーパーハイトワゴンとミドルSUVを使っており、結果は25度でテストを開始した車内温度が、軽スーパーハイトワゴンが60分後に37.5度、100分後から120分後にはピークとなる39.9度、ミドルSUVは60分後に43.5度、軽スーパーハイトワゴンと同様に100分後から120分後には46.5度まで上昇。夏場でなくとも晴天だと、駐車中は十分危険な領域まで車内の温度が上昇することがわかる。
また、このテストでは車内で特に温度が上がる代表的な部分であるダッシュボードにスマートフォンとタブレットを置いたところ、端末の温度上昇により約30分で一部の機能以外使用できなくなったという。
■真夏の車内温度上昇は?
5月の過ごしやすい気候でも駐車中はこれだけ車内の温度は上昇するのだから、夏場の晴天時における車内の気温上昇は恐ろしい。JAFでは2012年8月の晴天だったある日の12時から16時まで、ミドルハイトミニバンを使って車内の温度上昇を計測したデータがある。
そのなかから黒いボディカラーのミドルハイトミニバンの結果を紹介すると、25度でスタートした車内の温度は30分後に45度、60分後に52度前後、90分後に55度前後、120分を過ぎたあたりからはピークとなる57度が180分後まで続いた。これでは強烈な直射日光も伴いながら上限の温度のスチームサウナに居るようなものである。
なお、ダッシュボードの温度はピークで79度まで上昇したという。
またベストカー本誌では晴天だった真夏のある日に2時間駐車し、車内が70度まで温度上昇したクルマのダッシュボード(86.7度!)にバナナ、ガム、とろけるチーズ、コーラのペットボトルという食品類と、実用品から電卓とCDを放置するというテストを行ったことがある。
結果はコーラのペットボトルが1時間後に破裂寸前、2時間後にバナナは真っ黒に変色、とろけるチーズはトースターで焼いたかのようにカリッとしたような見た目になり、ガムはベトベトにはなったが、溶けることはなく形はほぼそのままを維持していた。
実用品はというと、電卓は液晶パネルが壊れるだけでなく、本体そのものがグニャリと大きく変形、CDは見た目もデータも変化はなかった。
同時にダッシュボードに生卵と水を入れたビーカーに生卵を入れ、それぞれ2時間放置したところ、前者はゆで卵に、後者は水が62度に上昇し温泉卵になっていた。
トドメにこのテストではテスト車が黒いボディカラーだったこともあり、ボンネットに割った卵を置き放置してみると、2時間後にはほぼ目玉焼きに調理されていた。
数値はもちろん、実物の変化を見ても真夏の車内の温度上昇は恐ろしい。
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