■最新のバイオ燃料はクルマに使える「品質」を確保しているのか
ただし、現代のディーゼルエンジンは燃料噴射をキメ細かく制御していて、そのために燃料を超高圧で圧縮している。それゆえ燃料系統の品質管理はシビアだから、燃料についても品質は追求される。
マツダは3年ほど前から、広島大学とバイオ燃料について共同研究を続けており、燃焼室に噴射した時の状態や燃焼の仕方など燃料としての特性の評価を行なってきた。
今回、ユーグレナとの共同プロジェクトによるバイオ燃料のバリューチェーン構築を発表しているところを見ると、バイオディーゼルの燃料としての品質は一定のレベルをクリアしている、と考えていいだろう。
すでに15年くらい前から微細藻類によるバイオ燃料の開発は続けられており、当初は化石燃料の10倍と言われた製造コストも徐々に引き下げる努力を続け、数年前には4倍程度まで下がったと言われている。
現在、日本で最も開発が進んでいるのは、ユーグレナとひろしま自動車産学官連携推進会議(通称ひろ自連)などが共同で行なっている「ひろしま “Your Green Fuel” プロジェクト」だろう。
ひろ自連はマツダや広島大学、広島県などの自治体や自動車関連企業が参画してクルマの次世代技術を共同研究する団体だ。ユーグレナはこれまで、いすゞとバイオディーゼルのバスを走らせてきたなど、すでに実証実験レベルでは実績を築いてきた。
しかし、液体燃料としての用途に絞ると、IHIやデンソー、広島大学などがそれぞれ研究している藻の方が効率良く油脂を生産できるという意見も聞く。これらの企業や団体も今では業務提携を進めるなど、培養の技術開発のスピードアップを図っている。
そして、このバイオ燃料、化石燃料と同等のコストになるまで普及は望めないかと言えば、そうとは言い切れない。
このところの熱波による気温上昇や山火事、豪雨による水害など自然災害の頻発ぶりを見れば、温暖化を食い止めなければさらにトンでもないことになるということが、世の中に伝わってきたから、今後バイオ燃料はますます実用化が熱望されることになるからだ。
■バイオ燃料100%ならエンジンの環境負荷は限りなくゼロに
完全普及に至るにはまだ時間が掛かりそうだが、バイオ燃料100%での販売が実用化されたらエンジンは環境負荷が限りなくゼロに近くなる。EVだってFCVだって走行するためにはCO2を発生していることを考えれば、立場が逆転することも有り得るのだ。
もちろん、EVやFCVも、ソーラーパネルや風力、地熱などの再生可能エネルギーを使ってCO2フリーで電気や水素を作り出す技術は確立されている。
あとは効率を高め、コストを下げれば実用化へのハードルは一気に下がる。このあたりはバイオ燃料と同じような状況と言えるだろう。
バイオ燃料はエンジンの可能性を広げる近未来のエネルギー。エンジンの熱効率向上と合わせて、実用化すればクリーンなエンジン車でドライブを楽しめるようになりそうだ。
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