かつてのスタンダード技術が少数派になった後に、扱いやすく飛躍的進化!?
昭和の時代まで「ATは贅沢品、MTが当たり前」という流れだったが、現在の日本車全体におけるMT(マニュアルトランスミッション)車の販売比率はたった数%と、AT(オートマチックトランスミッション)とMTの勢力は完全に逆転した。
日本の特に都市部の交通環境は渋滞が日常茶飯事なうえに、ここ10年ほどはATの進化も目覚ましく、燃費も速さもATがMTを上回ることが普通になり、トドメに構造的にATとなるハイブリッド車がこれだけ普及しているのだから、この状況も当然だ。
それゆえ、「免許を取った頃はMTの車に乗っていたけれど、ここ数年はサッパリ」というベテランドライバーの方も多いのではないだろうか?
実は、カローラやシビックのような実用車に設定されるなど、MTは復権しつつあり、昭和の時代に「操作が煩わしい」というイメージもあったMTは、各種アシスト機構などで飛躍的に進化を遂げ、扱いやすくなっている。
そこで、本稿では近年のMT車の進化を紹介していきたい。
文:永田恵一、写真:ホンダ、日産、マツダ、トヨタ、奥隅圭之
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扱いやすいMTやドライバーに優しい車が増加
ここ10年ほどのMT車においては「クラッチが重い、クラッチがミート(つなぎ)しにくい、特定ギアの入りが悪い」といった、渋滞中でなくともクラッチやシフト操作が苦になるものはほとんどなくなっており、これだけでもMT車に対する敷居は低くなっている。
さらに「限られたパワーバンドを巧みなシフト操作でカバーする」といった古典的なMTの楽しみ方とは矛盾するかもしれないが、ここ20年ほどのエンジンはターボ車が増えたこともあり、中低速トルクが太くなった。
そのおかけで「発進時のクラッチ操作に気を使う」、「小まめなシフト操作が必要」というものもほとんどなく、街乗りなら「ギアチェンジをサボれる」くらいフレキシブルなエンジンが増えており、この点もフレンドリーなMT車の増加に寄与している。
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