エクシーガはデビュー時はすでに時代遅れだった
スバルの断捨離されたカテゴリーには、3列シートミニバンもある。
最初の3列シート車は、1983年に発売されたドミンゴだ。軽ワンボックスバンのサンバートライに直列3気筒1Lエンジンを搭載して、乗車定員は7名だった。
1列目を後ろ向きに回転させ、2列目の背面を倒してテーブルにすると、1列目と3列目が向き合って車内をリビングルームのようにアレンジできた。
次は本格的なミニバンのトラヴィックが登場した。タイから輸入するオペルザフィーラの姉妹車だ。スバルがGMと資本提携していた繋がりで、2001年に発売された。
基本はオペルだから走行安定性が優れ、1.8Lエンジン搭載車の価格は189万5000円だ。買い得だったが、ミニバンはスバルのブランドイメージに合いにくく、当然ながら水平対向エンジンでもなかったから売れ行きは伸び悩んだ。
2008年にはエクシーガを発売した。走りを重視するスバルの考え方に沿って、スライドドアを備えない全高が1700mm以下のミニバンだったが販売は低調だった。
2000年代中盤以降には、ウィッシュ、ストリーム、3代目オデッセイなど、背の低いワゴン風のミニバンが全般的に売れ行きを下げたからだ。
2008年の登場時点で、エクシーガは時代遅れと受け取られた。2015年には、外観をSUV風にアレンジしてエクシーガクロスオーバー7に改良したが、売れ行きは持ち直さなかった。
お得意の水平対向エンジンでも断捨離を敢行
メカニズムの断捨離もあり、水平対向6気筒エンジンはその代表だ。
スバルの水平対向エンジンは、1966年にスバル1000に初搭載されて以来、4気筒で進化してきたが、1987年には2ドアスペシャルティクーペのアルシオーネに水平対向6気筒2.7エンジンを追加した。
このエンジンは最高出力が150馬力(5200回転)、最大トルクは21.5kgm(4000回転)。動力性能の数値は控え目だが、滑らかに回る上質なエンジンだった。この後、アルシオーネSVXが3.3Lを搭載したり、レガシィは3Lや3.6Lも用意した。
しかし今は、メーカーを問わず多気筒の大排気量エンジンは少数派だ。選択と集中により開発を合理的に行うため、例えばボルボは2L以上のエンジンを用意しない。
スバルも水平対向4気筒のみで、排気量の上限は2.5Lだ。水平対向6気筒は、実用回転域の駆動力が豊かで、回転感覚も静かで滑らかだったが今後の復活は考えにくい。
消滅した水平対向エンジンには、貴重な4気筒2Lディーゼルターボ(EE20)もあった。日本では売られなかったが、2008年に4代目レガシィの欧州仕様に搭載され、この後に車種を増やした。
ディーゼルではノイズと振動の対策が重要だが、水平対向なら水平に動く左右のピストンが振動を互いに消し合う。軽量でコンパクトなディーゼルを開発できた。
しかしこの後、厳しい排出ガス規制に対応する必要が生じた。スバルはハイブリッドのe-BOXERに力を入れ、ディーゼルは断捨離されている。上質な回転感覚を考えると、廃止するのは惜しいエンジンだった。
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