選択と集中を徹底 スバルが捨てた技術と軌跡

ATをやめてCVTに注力

 このほか有段式ATも廃止され、リニアトロニックと呼ばれるCVT(無段変速AT)になった。

 5代目レガシィは、水平対向2.5Lにリニアトロニック、2.5Lターボとアウトバックの水平対向6気筒3.6Lには5速ATを組み合わせて、その後はリニアトロニックに統一された。

 CVTはギヤ比を無段階に変えられるから、常に走行状態に合った比率を選べる。従って環境/燃費性能を向上させやすい。その代わり加速時にアクセルペダルを踏むと、エンジン回転が先に上昇して速度が追いかける違和感が生じやすい。そこを解消したのがリニアトロニックだ。

 リニアトロニックは有段ATに近い制御で、CVTなのにギヤ比をあまり変えない。そのために違和感は生じにくいが、巡航時の緩い加速では、実用回転域の十分な駆動力(トルク)が必要になる。

新型レヴォーグは先代同様にトランスミッションはCVTのみの設定。運転の楽しさを追求するスバルとしては多段ATの検討は必要だ
新型レヴォーグは先代同様にトランスミッションはCVTのみの設定。運転の楽しさを追求するスバルとしては多段ATの検討は必要だ

 ほかのCVTならギヤ比を少し変えてエンジン回転を高め、アクセル開度に応じて速度を上昇させる場面でも、リニアトロニックはそうならない。

 トルクの弱いエンジンでは、アクセルペダルを軽く踏み増した程度では加速せず、さらに踏み込むと積極的にギヤ比が変わって速度が高まりすぎる。

 今は運転感覚が向上したが、セッティングは難しい。こういった課題を踏まえると、運転の楽しさを追求するスバルの場合、多段ATの復活を検討してもいいだろう。

スバルのラリー復帰待望論は根強く存在する

 側方や斜め後方の視界も以前とは違う。以前のスバル車はサイドウィンドウの下端が低めで、ボディ側面の形状も水平基調だから、側方や後方の視界もよかった。

 それが最近はサイドウィンドウの下端を後ろに向けて持ち上げるから、以前に比べて斜め後方が見にくい。

新型レヴォーグのエクステリアデザインはフロントからリアにかけてウェストラインが競り上がっている。後方視界は昔のスバル車から比べると悪化している
新型レヴォーグのエクステリアデザインはフロントからリアにかけてウェストラインが競り上がっている。後方視界は昔のスバル車から比べると悪化している

 もともとスバルは0次安全(基本部分のデザインや設計を工夫して安全なクルマを開発する考え方)を提唱していたが、新型レヴォーグを見ると、後方視界に関する0次安全が薄れてきたように思える。

 このほか2008年12月に発表されたWRC(世界ラリー選手権)におけるワークス活動終了も、悲しい出来事だった。しかし最近になって復活する噂も聞こえてきた。是非復活させてほしい。

 モータースポーツは、ユーザー/販売会社/メーカーの喜怒哀楽に直結する企業活動だから、選択と集中では片付けられない。

 現在はニュルブルクリンク24時間レースをはじめ、サーキットレースに集中しているが、スバルのラリーへの復帰を願う声は大きい。

 自動車メーカーがクルマ好きの集まりなら、取り組んで当然だろう。

現在スバルはニュルブルクリンク24時間レースに積極的に参戦。ラリーフィールドで活躍するスバルの姿を見たいと考えている人は多い。ラリーへの復帰に期待
現在スバルはニュルブルクリンク24時間レースに積極的に参戦。ラリーフィールドで活躍するスバルの姿を見たいと考えている人は多い。ラリーへの復帰に期待

【画像ギャラリー】スズキ、ダイハツとはひと味違う個性派だったスバルのオリジナル軽自動車の系譜を振り返る

新車不足で人気沸騰! 欲しい車を中古車でさがす ≫

最新号

S-FR開発プロジェクトが再始動! 土屋圭市さんがトヨタのネオクラを乗りつくす! GWのお得情報満載【ベストカー5月26日号】

S-FR開発プロジェクトが再始動! 土屋圭市さんがトヨタのネオクラを乗りつくす! GWのお得情報満載【ベストカー5月26日号】

不死鳥のごとく蘇る! トヨタS-FR開発計画は再開していた! ドリキンこそレジェンドの土屋圭市さんがトヨタのネオクラシックを一気試乗! GWをより楽しく過ごす情報も満載なベストカー5月26日号、堂々発売中!