新しい軽SUVが健闘
では、軽自動車はどうか?
一般社団法人全国軽自動車協会連合会の軽四輪車通称名別新車販売確報によると、こちらは1~6月の集計が出ていないため、2019年度(2019年4月~2020年3月)の集計を参考にすると、ハスラーが9位、ジムニーが13位ということで、SUVが上位ではない。
トップ5は、N-BOX、タント、スペーシア、デイズ、ムーヴというスーパーハイトワゴンとハイトワゴンだ。
ちなみに、直近8月の販売動向においては、ハスラーが4位に上がり、タフトが9位、ジムニーが13位で、SUVがモデルチェンジや新登場などで上位進出をはかった。しかし、スーパーハイトワゴンの人気は盤石だ。
まとめれば、SUVに人気が集中している状況ではないが、SUV購入の希望が定着し、なかでも5ナンバー車や軽自動車でのSUVへの期待が高まっている。3ナンバー以上のSUVは、ある程度行き渡った状態ではないか。
SUVのラインナップは増殖して定着
SUVという車種が、消費者に親しまれるようになったのはいつからだろう。乗用車のブラットフォームを基本としながら、外観は4輪駆動車のような造形の車種は、1997年のトヨタハリアーからといわれる。
しかし、4輪駆動車を悪路走破のためだけでなく、市街地でも足として利用するようになったのは、1980年代前半の、いすゞビッグホーンや三菱パジェロ、米国ジープの2代目チェロキーあたりに遡る。
また1970年に登場したレンジローバーが1990年代まで販売され、それをカリフォルニア州のビバリーヒルズ近郊の富裕層が街で乗るということが始まり、国内では、1979年に登場したメルセデスベンツGクラスに都市で乗ることも始まった。
チェロキーやGクラスを運転する女性の姿を見るようになったのもこの頃で、大柄なSUVに乗ることで嫌がらせをされにくいとの声を聞いたこともある。
それでも、当時はまだ一部の人が好きで乗っている時代であっただろう。広く人気を得て、セダンやステーションワゴンから乗り換える人が大勢現れたのは、2000年のBMW X5や、2002年のポルシェカイエンが登場するようになってからではないか。
従来の乗用車の派生車種としてのSUVではなく、運転する喜びを特徴としたり、スポーツカーメーカーでありながらSUVを販売したりするといった、価値が広げられた。
また米国では、高級車銘柄であるリンカーンにナビゲーターが1997年に誕生し、続いてキャデラックにもエスカレードが生まれ、SUVが車格を問わず選択肢のひとつとなったのである。
そしてより廉価な車種でもSUVを希望する消費者が出くる。国内では、ホンダヴェゼルが高い人気を呼び、トヨタからC-HRが生まれることも起きた。
軽自動車にはハスラーが登場し、登録車の5ナンバー車としていよいよロッキー/ライズが誕生し、2020年1~6月の1位を獲得するに至るのである。
過去20年ほどの間に、SUVという車種は定着した。それは国内だけでなく、世界的な動きとなっている。
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