トヨタの真の狙いを解説「KINTO」で得する限られた人

KINTOは任意保険を含んでいるのが特徴

 今はクルマのサブスクリプションサービスが増えつつあるが、KINTOの一番のメリットは、月額料金の中に任意保険料まで含んでいることだ。

 定額サービスやカーリースの場合、車両の使用料、税金、自賠責保険料、メンテナンス費用などを含むのは当然だが、任意保険料までカバーするのは珍しい。任意保険は保険料が概して高額で、特に若いユーザーでは高騰するためだ。

 KINTOが標準付帯している任意保険は、全年齢を補償するコースで、車両保険(免責は5万円)まで含まれる。対人と対物賠償は無制限、人身傷害補償は1名に付き5000万円だ。

 例えば契約者の未成年の子供が友人とドライブに出かけ、その友人が交代して運転している時に、運転ミスによる自損事故を発生させたとする。この状況でも車両保険が支払われるのだ。保険料が最も高額な加入方法になる。

デビュー以来快進撃を続けているハリアーは月額6万1600円からとなっていて、今後KINTO ONEでの伸びが期待されている
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保険料の高い若者にはメリットが大きい

 ヤリスクロス2WD・1.5Gで年齢条件などに基づく割引きのない任意保険に加入すると、車両保険まで加えれば、1年間の任意保険料は約30万円に達する。3年間なら90万円だ。

 ヤリスクロス2WD・1.5Gで3年間の残価設定ローンを利用すると(実質年率6.8%)、返済額の合計は約129万円になる。

 そこに購入時に納める税金と自賠責保険料が約11万円、そのほかの諸費用が約10万円、メンテナンスパックが約7万円という具合に加えると、合計約157万円だ。そこに3年間の任意保険料となる90万円を加えると、総額では247万円に達する。

2020年8月にデビューして、KINTO ONEに加わるや否や人気ナンバーワンとなっているのがヤリスクロス。月額4万4550円からとお手頃価格も魅力
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 いっぽう、KINTOでヤリスクロス2WD・1.5Gを契約すると、毎月の支払い額は全年齢補償の任意保険料まで含めて4万4550円だ。

 3年間(36か月)であれば160万3800円だから、残価設定ローンを使って全年齢補償の任意保険に加入した場合に比べると80万円以上も安い。KINTOは若いユーザーにとって、利用価値の高いサービスに作り込んでいる。

 また数回にわたって任意保険を使い、等級の下がった(つまり任意保険料が高額になる)ユーザーにとっても、KINTOはメリットが大きい。

 KINTOであれば、ユーザー自身が加入してきた任意保険とは無関係だから、前述の定額料金で利用できる。

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保険の等級によっては支払総額が高くなるケースも

 その半面、KINTOで保険を使わない無事故の期間が長くなっても、自分の等級は高められない。自分自身で任意保険に加入すれば、無事故の実績が評価されて等級が高まり、任意保険料は下がっていくがKINTOは対象外だ。

 若い時だけKINTOでクルマを使い、その後はクルマを所有しないなら保険料は割高にならないが、長期間で捉えるとKINTOが割安とは限らない。

 無事故の期間が続いて任意保険が20等級まで高まり、運転者も本人と配偶者のみに限定した場合、ヤリスクロス2WD・1.5Gの1年間の任意保険料は、安いコースになると約3万円、3年間で9万円程度まで抑えられる。

 そこに3年間の残価設定ローンに費やす税金なども含めた157万円を加えると166万円だ。KINTOを使う160万3800円に近付く。

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 さらに現金で購入して3年後に手放す場合、残価設定ローンの残価率から判断すると、車両価格が202万円のヤリスクロス2WD・1.5Gなら3年後に105万円で売却できる。人気車とあってリセールバリューも高い。

 そうなると3年間に価値が下がる金額は97万円だ。そこに税金、自賠責保険料、諸費用、メンテナンスパックなどの28万円と、先に挙げた任意保険料の9万円を加えれば総額134万円になる。KINTOの160万3800円に比べると約26万円安い。

 以上のように現金購入に勝る安さはないが、KINTOも力を入れるサービスとあって相当に割安だ。定額制だから月々の出費にも変動がなく、予算を設定しやすい。

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