プリウスとRAV4だけではなくカローラにもPHVあり!
日本ではプリウスとRAV4で、プラグインハイブリッドカー(以下PHV)を展開しているトヨタ。
PHVは、家庭での充電が可能で、買い物や通勤では電気自動車として使え、遠出では燃料を入れれば航続距離を気にせず便利に使えるのが特長だが、実は中国ではカローラとその兄弟車となるレビンにもPHVを設定している。
海の向こうに存在するカローラ/レビンPHVは果たしてどのようなクルマなのか? 改めて解説したい。
文/永田恵一、写真/TOYOTA
【画像ギャラリー】本文未掲載写真も!! 中国トヨタで販売されるカローラPHVをはじめとしたEVラインナップを写真で見る
■日本にないカローラ/レビンPHVとは?
中国ではそれぞれ現地での合弁企業となる一汽トヨタ、広州トヨタでカローラ デュアルエンジンE+、レビン ダブルエンジンE+の車名で販売されるカローラ/レビンのPHVは、現カローラスポーツの前身「オーリス」のセダン版で、海外仕様の先代カローラがベース。2019年に登場した。
(※デュアルエンジン/ダブルエンジン=ハイブリッド、E+=プラグインの意)
先代カローラのクルマの土台となるプラットホームが、先代プリウスと共通だったことを思うと、先代プリウスPHVの兄弟車と考えることもできる。
こうした背景もあり、カローラ/レビンPHVの、最高出力99馬力/最大トルク14.5kgmの1.8Lエンジンに、同71馬力/21.1kgmの駆動用モーターと発電用モーターを組み合わせるハイブリッドシステムの成り立ちは、モーターの出力が違うだけで先代プリウスPHVと共通だ。
一番の違いはEV航続距離で、ラゲッジスペース下に4.4kWhのリチウムイオンバッテリーを積み、EV航続距離の公表値が24.4kmと26.4kmだった先代プリウスPHV。
対して、カローラ/レビンPHVは、倍以上となる10.5kWhのリチウムイオンバッテリーをリアシート後方とラゲッジスペースの間に搭載し、EV航続距離も55kmと長い。
なお55kmのEV航続距離とハイブリッド走行を足した合計の航続距離は985kmで、車重は1400~1440kgだった先代プリウスPHVに対し、カローラ/レビンPHVは1510~1550kgと主にバッテリー容量が大きい分と思われる分で重い。
価格は、レビンPHVで1万元の補助金(約15万8000円)を差し引くと19万3800(305万4000円)~20万8800元(約329万円)と、フルモデルチェンジでTNGAプラットホームを使うなど大幅に進化したレビンハイブリッドに対し補助金を入れても約6万元(約94万6000円)高だ。
これは現在日本で販売されるプリウスとプリウスPHVの22万円の補助金を加味した実質的な価格差が、約55万円なのに比べると非常に高い。
総合すると中国で販売されるカローラ/レビンPHVは、55kmのEV航続距離を確保するためのバッテリー容量の拡大や搭載位置、価格など、「中国でとりあえずPHVが必要」という事情もあり、半ば消極的・強引に作ったPHVという感が否めない。
■日本でカローラPHVが設定される可能性はある?
筆者個人の完全な憶測だが、ひとつは、いずれ現行プリウスPHVのカローラ/レビン版としてフルモデルチェンジする(バッテリー搭載という理由もあり現行プリウスPHV同様にリアのオーバーハングも延長されるか?)可能性が考えられる。
もうひとつ、カローラ/レビンPHVは2019年登場と新しいモデルであることもあり、当面このまま販売し、エンジンを2Lとするなど“次のプリウス”などで使われるプラグインハイブリッドシステムが軌道に乗った時点でフルモデルチェンジするというのが有力に感じる。
この可能性は非常に低いと思っている。というのは日本にはプリウスとカローラハイブリッドがあり、現在少しバッティングしているところがあるからだ。
現在ヤリスハイブリッドとバッティングしているところがあるアクアを、フィットやノートに近い広いコンパクトカーにすることで差別化するのと同じように、次期プリウスは、価格も含めてPHVを中心にしたハイブリッド車になる可能性がある。
そうなった際には、日本でカローラPHVは不要だし、そもそも中国ではプリウスが販売されていないからカローラ/レビンのハイブリッドやPHVが必要なのだ。
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