FCVのパイオニアが、いよいよ2代目にフルモデルチェンジ! 新型MIRAIは未来を担うクルマになる!?
世界に例がない量産FCV(燃料電池車)として2014年12月に発売されたトヨタ MIRAIの新型モデルが、ついに今年12月に発売される。
東京モーターショー2019に出展されるなど、すでにデザインは公開されていたものの、未知数だった最も注目される「水素燃料電池車としての実力」が今回、プロトタイプの初試乗で判明!
果たして、燃料電池の進化や航続距離、燃費などはどれだけ進化しているのか? そしてクルマとしての出来は?
文/国沢光宏、写真/池之平昌信
【画像ギャラリー】世界で唯一の量産FCV(燃料電池車)に新型登場! トヨタ MIRAIの進化を写真で見る
■コスト度外視!? レクサスLSの車体使う新型MIRAI
●車体
新型MIRAIのプラットフォームは、クラウンだと思っている人も多いようだけれど違います。何とレクサスLSと同じ。燃料電池車といえども専用のシャシを開発することはコスト的に無理(従来型MIRAIはSAIをベースにしている)。
新型を開発するにあたり重視したのが、航続距離伸ばすため水素タンクの容量を増やすことだったという。
検討した結果、トヨタで最も大きいタンクを搭載できるのはLSということになったそうな(正確に言えばホイールベースの短いLCに近い)。といった経緯からコストなど二の次で採用したという。田中義和CE(チーフエンジニア)らしいです。言うまでも無くこの時点で後輪駆動になった。
もうひとつ。センチュリーの除きトヨタで最も大きなプラットフォームを使うため、当然ながら質感だって隠せなくなる。どの評価軸から見ても、クラウンを圧倒する存在感になりましたね!
■燃料電池はEVと対等に勝負できるレベルに
●燃料電池
試乗会場に新型用のスタック(燃料電池本体)が展示されていたのを見てビックリ!
従来型MIRAIのスタックも燃料電池として考えたら充分コンパクトな仕上がりだったけれど、新型のスタックは二回りほど小さくなったうえ、32kgしかないという! 174馬力を出すパワーユニットとして考えたら驚くほど軽い!
同じくらいの出力を出す2L・4気筒のガソリンエンジンなら110kg前後ある。このスタックを2つ使えば64kgで350馬力! WRCのラリーカーに使ったって充分イケるほど!
もはやエンジンや重いバッテリーを搭載しなければならない電気自動車と対等に勝負できるパワーユニットになったと思う。また、コストダウンも進んだ。高い高い材料である白金の使用量は従来型MIRAIで従来から72%も減らしている。
なのに新型MIRAIのスタック、さらに58%も少なくなった。同時にスタックの生産に掛かる時間も大幅に短縮して効率化。遠からず出力あたりの価格はディーゼルエンジンと並ぶレベルになっていくと思う。
■水素タンク追加で航続距離&燃費も向上
●水素タンク
満充填航続距離を伸ばすため、新型MIRAIは水素タンクを1本増やして3本搭載している。水素搭載量は4.6kgから5.6kgに増え、合わせて燃費も10%程度向上させた。
結果、満充填時の航続距離で従来型の「エコランして400km」から「エコランなら600km」程度になったそうな。従来型だと東京~名古屋程度の航続距離だったのが、東京~大阪を無充填で走れるようになるというのだから素晴らしい!
安全性を重視しているため複雑な多重構造&高価なカーボンを大量に使い、長い時間を掛けて生産していた水素タンクも生産性を3倍にしてコストダウンしている。
スタックで作った電力をモーターに伝えるためのインバーターなどはハイブリッド用に近いため、すでに低コスト。もう1世代くらい進化すると電気自動車のコストくらいまで下がってくるかもしれません。
コメント
コメントの使い方