■実際MX-30はどうなのか? 乗って感じたCX-30との明確な差別化
MX-30は乗ってみると、CX-30に対し車重がフリースタイルドアに伴い60kg重いこともあり動力性能はごく普通だ。
ハンドリングは目立つところはないけれど、ここ数年のマツダ車らしく操作に対しクルマが思い通りに動いてくれ、ごく自然で運転しやすい。
乗り心地もフリースタイルドアの採用によりボディ剛性が強化されている好影響なのかCX-30に対し良化しており、全体的に飽きなどを感じることがなさそうな、日常的に長期間使うには向いた乗り味だった。
使い勝手に関しては、まずATの「P」レンジが「R」レンジの右側となるシフトパターンはロックボタンを解除しないと「P」に入らないこともある。
そのため、Rのままエンジンを止めてしまったり、操作に戸惑うこともしばしばあり、Pレンジは独立したボタンにするべきと思った。
フリースタイルドアは、フロントドアを開けないとリアドアが開かないので両方開けないとリアシートにアクセスできない点(リアシートに座った子供が不意に飛び出す心配がないともいえるが)は不便だ。
さらにリアドアが閉まっていないとフロントドアを閉められないのを誤ってリアドアを後から閉めようとすると、リアドアに付いているフロントシート用のシートベルト金具でフロントドアを傷つける恐れがあることなど、問題点は否めない。
そのため4ドア車と考えれば不便さもあるが、MX-30を「スペシャリティな2ドアに近い4ドア車」と考えれば、リアシートにアクセスしやすく、リアシートとラゲッジスペースの広さもCX-30とそれほど変わらずと、2ドア車よりは使いやすい。
こうした点を総合すると、MX-30はクルマのジャンルはあまり気にせず「欲しいクルマ、自分に合うクルマがこれだった」という選び方をする層や個性派には面白いクルマなのは事実で、CX-30との差別化は明確にできていると断言できる。
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MX-30は面白いクルマではあるが、そのぶん普遍性も薄いため電気自動車版やレンジエクステンダー版が加わったからといって、価格によるところもあるにせよ「販売が大きく伸びるのか?」という懸念はある。
しかし、その点MX-30はマツダで新しいジャンル、実験的ともいえるモデルに命名されるMXを使っているだけに「市場に出してこそのフィードバック」を多く得られれば、それで充分な存在意義があるのかもしれない。
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