日本仕様は確実に増産されている
届け出や登録の状況を見ると、以前に比べてジムニーの国内仕様を増産していることは確かだ。
現行ジムニー&ジムニーシエラは2018年7月に登場しており、ジムニーの場合、2018年10月の届け出台数は1851台だった。それが1年後の2019年10月には2172台だから、1.2倍に増えた。2020年10月は4406台で、前年の2倍以上だ。
小型車のジムニーシエラは、2018年10月の登録台数が519台だったが、2019年10月は698台、2020年10月には1555台へ急増した。
一般的なクルマの売れ方は、発売直後が最も多く、次第に下がってくる。ジムニーとシエラは需要に生産が追いついていないから、増産体制により、時間が経過するほど台数も増えた。
英国で販売するジムニーが終了したことも、国内向けの増産に影響を与えているだろう。
これからジムニーが毎月4000台以上、ジムニーシエラも1600台前後というペースで納車できれば、少しずつではあるが受注のストックが減って納期も短縮に向かう可能性がある。
シエラを5ドア化するのは比較的簡単
そのいっぽうで「ジムニー5ドア」の登場も噂されるようになった。
全長とホイールベースを拡大して、5ドアボディにするものだ。販売店では「ジムニーの5ドアボディについては、現時点でメーカーからなんの話も聞いておりません」という。
それでも、ジムニーは後輪駆動をベースにした4WDを搭載する悪路向けのSUVだから、ラダーフレームの延長版を開発して5ドアボディを架装すれば、ランドクルーザーをコンパクトにしたようなレイアウトになる。
小型車のジムニーシエラについては、ロングボディを開発することも可能だろう。
ジムニーシエラの全長は3550mm、ホイールベース(前輪と後輪の間隔)は2250mmだから、それぞれ250mm拡大する。つまり全長は3800mm、ホイールベースは2500mmだ。全幅は1645mmで変更する必要はない。
このボディサイズは、(こちらは前輪駆動のSUVではあるが)スズキのクロスビーに近い。
クロスビーは前輪駆動によって広い室内を備えるファミリー指向のコンパクトSUVだ。
対するジムニーシエラ5ドアは、アクティブな悪路向けのコンパクトSUVと位置づければ、ボディサイズが同程度でもまったく異なる商品特性を与えられる。
5ドア化で快適性は確実に向上する
ボディとホイールベースを250mm伸ばしたうち、150mmを後席の足元空間に充当したと仮定しても、居住性は大幅に向上する。
今のジムニーとジムニーシエラに身長170cmの大人4名が乗車した場合、後席に座る同乗者の膝先には、握りコブシが入らない。腰が落ち込んで膝が持ち上がる窮屈な姿勢になってしまう。
それが全長とホイールベースの拡大で、後席の居住空間に余裕が生まれ、5ドアボディになるから後席の乗降性も向上する。後席を畳めば、荷室長も250mm拡大されて積載性が一層向上する。
以前、スズキのエンジニアに、ジムニーシエラを拡大した5ドアボディの可能性を尋ねたことがあった。
その返答は、「ジムニーはラダーフレームを採用しているので、ストレッチさせるのは困難ではないでしょう。エスクードもありますから、マーケティングにもよりますが、開発することは可能です」であった。
また従来型ジムニーの海外仕様には、3ドアボディではあるが、ホイールベースと室内空間(主に荷室)を拡大したタイプがある。今後ジムニーシエラの5ドアが登場する可能性はあるだろう。
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