きっかけは「チェロキー」
第二次世界大戦後、アメリカは好景気に沸き、全米でのフリーウエイ拡充と郊外型住宅の建設ラッシュとなった。それに伴い、様々なタイプの自動車が量産される。
中心的存在は、家族団らんが楽しめるセダンだ。庶民派のエントリーモデルから、”動く応接室”のようなプレミアムモデルまで、各メーカーが競い合うようにセダンを作った。
また、セダンを軸足とし、よりスポーティ性を持たせた2ドアクーペモデルが若い世代を中心に支持されるようになる。その流れで、1960年代には大排気量・大出力のいわゆる”マッスルカー”が登場する。
1970年代になると、排ガス規制やオイルショックの影響で、アメ車はボディの小型化、エンジンの小排気量化が進む。この時期に、日本車セダンが頭角を現す。
1980年代から1990年代になると、アメリカの主要モデルは、日米各社によるC/Dセグメントセダン・ハッチバックとなっていた。なかでも、ベンチマークとされたのが、トヨタ「カローラ」、「カムリ」、ホンダ「シビック」、「アコード」だ。
こうしたセダン中心の市場構造に、最初の変化が生まれがのが1990年代半ば。ジープ「チェロキー」をシティユースするプチブームが到来した。
そこから、フォード「エクスプローラー」、GMシボレー「タホ」、「サバーバン」など、ミッドサイズSUVとフルサイズSUVへとブームが拡大していった。
当時、筆者はアメリカ中南部に居住していたのだが、アトランタ・オリンピックが開催される中、SUVが庶民のステイタスシンボルになっていく経緯を目の当たりにした。
こうしたトレンドと合わせて、SUVの原型といえる、ピックアップトラックを乗用するユーザーも増え始めた。
フォード「F150」、GMシボレー「C/K1500(現シルバラード)」、ダッジ「ラム」が三つ巴の戦いを繰り広げた。この戦いは、モータースポーツの世界にも転じて、NASCARにピックアップトラックシリーズが誕生した。
こうした1990年代中盤から後半が、アメリカでのSUV第一期に相当する。
プレミアム化を経てダウンサイジングがトレンド
続く、2000年代からのアメリカSUV第二期はプレミアム化の時代だ。
きっかけとなったのは、BMW「X5」だ。先に市場参入していたメルセデスベンツ「M」に比べてスポーティな走りが評判となった。
さらに、ポルシェ「カイエン」の登場によってプレミアムSUV市場は一気に活性化。米ビック3(現在のデトロイト3:GM、フォード、ステランティス)、日系プレミアム3 (レクサス、インフィニティ、アキュラ)、さらに韓国ヒュンダイ/キアがごぞって、セダンからSUVへのシフトを加速させた。
このモデル用域を、セダンとSUVの融合的な商品イメージとして、クロスオーバーSUVと呼ぶことが多い。
時代は進み、2010年代に入ると、SUVのダウンサイジングがトレンドとなる。2000年代までのSUVは、庶民派C/Dとある程度共存共栄していたが、この時期に「RAV4」と「CR-V」の存在感が一気に上がり始めた。
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