セダン離れ鮮明に!惜別 2020年の生産終了車 3台の大物と全モデル

ホンダ シビックセダン

 シビックは、ホンダとしては最初の量販小型乗用車だ。初代モデルは希薄燃焼方式のCVCCで排出ガス規制に対応しており、1983年に発売された3代目は、スマートで空間効率の優れたボディが人気を呼んだ。

1997年には6代目にタイプRを加えるなど、シビックは5ナンバーサイズの3ドアハッチバックを基本に、多彩な商品開発を行って若年層の支持も高かった。

 ところが2000年に発売された7代目では、3ドアが海外向けになり、国内は5ドアとセダンになった。2001年には合理的な初代フィットが登場して好調に売れたから、シビックは顧客を奪われた。

 2005年に発売された8代目は、3ナンバーセダン専用車になって売れ行きを一層下げてしまう。2010年にシビックは国内販売を終了。イギリス製のタイプRを輸入したが、少数に留まった。

2017年7月に日本市場に復活したが、惜しくも2020年8月に生産終了したシビックセダン(販売期間:2017年~2020年)
2017年7月に日本市場に復活したが、惜しくも2020年8月に生産終了したシビックセダン(販売期間:2017年~2020年)

 それが2017年になると、シビックは国内販売を再開した。切っ掛けはセダンを寄居工場でも製造するようになったことだ。ハッチバックとタイプRはイギリスから輸入してグレード構成を整えた。

 2019年の登録台数は、1か月平均で900台少々になる。今のホンダの国内販売では、軽自動車が約半数を占めるので、ホンダのブランドイメージも小さなクルマに移った。ミドルサイズのシビックは売れ行きを伸ばせない。

 しかも販売の内訳は、ハッチバック:59%、タイプR:24%、セダン:17%で、セダンの登録台数は月平均で約150台と低迷した。その結果、シビックセダンは廃止された。

 ホンダはシビックの国内販売を一度終えたから、販売しにくい商品であることは認識していた。それなのに魅力的な特別仕様車の投入など、有効な販売促進対策を行っていない。

シビックセダンは2回目の廃止になるので、今後国内で販売される見込みはない。計画性の乏しい場当たり的な対応が、寂しい結果を招いた。

日産 シルフィ

 最初のシルフィは、2000年にブルーバードシルフィとして設定された。この時点ではひとまわり大きなブルーバードも売られていたが、2005年にフルモデルチェンジを行い、車内の広い5ナンバーセダンのブルーバードシルフィに統合された。

 運転のしやすさと後席を含めた快適な居住性を両立させ、2006年には1か月平均で2000~3000台が登録された。

3代目よりサイズが拡大し、3ナンバー車になったシルフィ(販売期間:2012年~2020年)
3代目よりサイズが拡大し、3ナンバー車になったシルフィ(販売期間:2012年~2020年)

 ところが2012年発売の現行型は売れ行きを下げた。3ナンバー車に拡大されて特徴が薄れ、発売当時は好調にクルマを売るための必須条件だったエコカー減税にも漏れたからだ。2019年の登録台数は、月平均で150台程度であった。

 そのため海外では2019年に新型シルフィが披露され、外観もカッコ良くなったのに日本国内で販売する予定はない。

上海モーターショー2019でお披露目された新型シルフィ(2020年時点日本販売予定なし)
上海モーターショー2019でお披露目された新型シルフィ(2020年時点日本販売予定なし)

 シビックやレガシィB4を含めて、セダンの人気が低迷して売れ行きも下がり、それを見過ごしたことで最終的に廃止された。

 セダンの廃止は、国内市場に取り組む各メーカーの姿勢によるものだ。販売しやすい車種だけに注力するから、軽自動車の販売比率が37%に達した。

 軽自動車やSUVが伸びても、セダンやワゴンの低迷が災いして、国内販売は回復しない。

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