ホンダ シビックセダン
シビックは、ホンダとしては最初の量販小型乗用車だ。初代モデルは希薄燃焼方式のCVCCで排出ガス規制に対応しており、1983年に発売された3代目は、スマートで空間効率の優れたボディが人気を呼んだ。
1997年には6代目にタイプRを加えるなど、シビックは5ナンバーサイズの3ドアハッチバックを基本に、多彩な商品開発を行って若年層の支持も高かった。
ところが2000年に発売された7代目では、3ドアが海外向けになり、国内は5ドアとセダンになった。2001年には合理的な初代フィットが登場して好調に売れたから、シビックは顧客を奪われた。
2005年に発売された8代目は、3ナンバーセダン専用車になって売れ行きを一層下げてしまう。2010年にシビックは国内販売を終了。イギリス製のタイプRを輸入したが、少数に留まった。
それが2017年になると、シビックは国内販売を再開した。切っ掛けはセダンを寄居工場でも製造するようになったことだ。ハッチバックとタイプRはイギリスから輸入してグレード構成を整えた。
2019年の登録台数は、1か月平均で900台少々になる。今のホンダの国内販売では、軽自動車が約半数を占めるので、ホンダのブランドイメージも小さなクルマに移った。ミドルサイズのシビックは売れ行きを伸ばせない。
しかも販売の内訳は、ハッチバック:59%、タイプR:24%、セダン:17%で、セダンの登録台数は月平均で約150台と低迷した。その結果、シビックセダンは廃止された。
ホンダはシビックの国内販売を一度終えたから、販売しにくい商品であることは認識していた。それなのに魅力的な特別仕様車の投入など、有効な販売促進対策を行っていない。
シビックセダンは2回目の廃止になるので、今後国内で販売される見込みはない。計画性の乏しい場当たり的な対応が、寂しい結果を招いた。
日産 シルフィ
最初のシルフィは、2000年にブルーバードシルフィとして設定された。この時点ではひとまわり大きなブルーバードも売られていたが、2005年にフルモデルチェンジを行い、車内の広い5ナンバーセダンのブルーバードシルフィに統合された。
運転のしやすさと後席を含めた快適な居住性を両立させ、2006年には1か月平均で2000~3000台が登録された。
ところが2012年発売の現行型は売れ行きを下げた。3ナンバー車に拡大されて特徴が薄れ、発売当時は好調にクルマを売るための必須条件だったエコカー減税にも漏れたからだ。2019年の登録台数は、月平均で150台程度であった。
そのため海外では2019年に新型シルフィが披露され、外観もカッコ良くなったのに日本国内で販売する予定はない。
シビックやレガシィB4を含めて、セダンの人気が低迷して売れ行きも下がり、それを見過ごしたことで最終的に廃止された。
セダンの廃止は、国内市場に取り組む各メーカーの姿勢によるものだ。販売しやすい車種だけに注力するから、軽自動車の販売比率が37%に達した。
軽自動車やSUVが伸びても、セダンやワゴンの低迷が災いして、国内販売は回復しない。
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