トランスウェブ(千葉県富里市)はこのほど、ドイツ・ケスボーラーの海コントレーラ「マルチファンクション・コンテナトレーラ」の販売を開始した。
海コントレーラとは、国際規格化機構(ISO)により寸法、強度、外形が定められた世界共通の海上輸送用の容器「国際海上コンテナ」を運ぶためのセミトレーラのこと。フレームにタイヤを付けただけのようなシンプルな外観が特徴で、業界用語(?)では「シャシー」や「ホネ」と呼ばれている。
海コントレーラは、輸出入に係る海上輸送の90%を占めるといわれる国際海上コンテナの港〜出荷先/納品先への輸送(末端輸送)を担う働くクルマ。日本の国際貿易のボトムを支える存在だ。
文、写真/フルロード編集部
【画像ギャラリー】日本の法規に対応した専用パーツを自社開発!! ドイツから来たトレーラメーカー、ケスボーラーの本気を写真で見る
■ドイツの世界的トレーラメーカーが日本進出
ケスボーラーはドイツ北西部を拠点とする世界的な総合トレーラメーカー。日本ではルーツを同じくするバス車体メーカーが知られるが、トレーラメーカーの日本市場進出は初めて。モジュラー化された堅牢な車体が持ち味という。
いっぽう、トランスウェブはレーシングカーや輸入車の輸送を得意とする運送会社。これまで、欧州の複数のメーカーとトレーラを共同開発してきた実績を持つ。マルチファンクション・コンテナトレーラはまず自社で運用し、手応えを感じたことから、共感するユーザーへの販売を開始したという。
ちなみに今回の海コントレーラの共同開発では、別のメーカーにも話を持ちかけているが、日本専用のサイドバンパーを開発するなど、日本市場への熱意を一番感じたケスボーラーとパートナーシップを結ぶことに決めたという
■国内法規に合わせた専用パーツも開発
今回紹介するマルチファンクション・コンテナトレーラは、3軸の海コントレーラで、荷台に伸縮機構を採用し、1台であらゆるサイズのコンテナを積載可能としているのが最大の特徴だ。
国際海上コンテナには全長別で、45ft(13716mm)、40ft(12192mm)、30ft(9144mm)、20ft(6096mm)などのサイズが存在。日本では40ft、20ftが主流で、トレーラも40ft用、20ft用とでそれぞれ専用車が存在する。
40ftコンテナを運んだ後に、20ftコンテナを運ぶ依頼が入ると、一旦駐車場に戻ってトレーラをつなぎ替える必要があるが、荷台に伸縮機構を備え、40ftと20ftのどちらも積載可能とした「兼用車」も存在する。
しかしこの兼用車、ほとんど普及していない。その理由の1つが、20ftコンテナを荷台の後端部に載せられないから。国際海上コンテナの荷役は後ろからフォークリフトで入っていって行なうので、後端部にコンテナが置けないと荷役作業が非常にやりづらい。
マルチファンクション・コンテナトレーラは、フレームの前後を伸び縮みさせる独自の荷台伸縮機構により、日本で主流の40ft、20ftはもちろん、45ft、30ftのコンテナも積載可能。20ftを後端部に載せることも可能で、20ftの2個積みにも対応する。まさにマルチファンクション(多機能)だ。
なお、国産のコンテナ総重量(コンテナ+中身)20t以上の20ftコンテナを運ぶ20ft用海コントレーラでは、法律で定められた軸重10tを超過しないよう3軸車を用いて軸重を分散させた上、トラクタの駆動軸重を確保するため約2tのカウンターウェイトをキングピン上部に搭載する場合があるが、同車は不要という。
伸縮作業は、車体側面のスイッチボックスのボタンでトレーラブレーキを作動させ、前側をトラクタで引っ張り出し、後ろ側は手回し式のハンドルを回して行なう。フレームの固定はエアで出し入れできる金属製のピンでロックする方式だ。
フレームの伸縮のバリエーションは多数あるが、固定位置は車体に貼付されたステッカーを見れば一目瞭然。作業時間は、コンテナを固定するためのツイストロックのセッティングを含めても30分程度とスピーディだ。
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