かつてプリウス越えを果たしたホンダのハイブリッド車「インサイト」。クルマは良いのに復活後、販売で苦戦する理由は?
2018年に復活したホンダ インサイトの販売は、2020年1月から11月までの合計で3095台と、同時期に2015年12月登場のプリウスが4万6410台売れていることを踏まえると、絶不調と言わざるを得ない。
そこで、本稿ではインサイトが3世代に渡って歩んだ軌跡などを交えながら、現行インサイトが苦戦している理由を考えてみたい。
文/永田恵一、写真/HONDA、編集部
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■画期的で実験車に近かった初代とプリウス越え達成した2代目
初代プリウスから約2年遅れで1999年に登場した初代インサイトは、市販できるギリギリを狙った実験車に近い量産ハイブリッドカーである。
ハイブリッドシステムは、1L・3気筒エンジンに加速の際のアシストと減速の際の回生制動を行う小型モーターを組み合わせたホンダ「IMA」だったこともあり、ハイブリッド化による燃費向上は初代プリウスほどではなかった。
こうした背景もあり、アルミボディや樹脂製の外板パーツの採用による軽量化、2シーターのファストバッククーペとすることによる空気抵抗の低減といった車体側による徹底的な燃費向上が行われ、初代プリウスの燃費を上回った。
しかし、内外装を見れば分かるとおり、初代インサイトは普遍性のないクルマだったため、まったく売れず、2006年6月に姿を消した。
その後、2009年2月に2代目フィットベースとなる5ナンバーサイズのハイブリッド専用の5ドアセダンとして復活。
2代目インサイトのハイブリッドシステムは、1.3LガソリンエンジンのホンダIMAを使い、189万円からという当時のハイブリッド車としてはリーズナブルな価格を理由に、同年4月にはハイブリッド車初の月間販売台数ランキング1位に躍り出る好調なスタートを切った。
しかし、インサイトの価格に刺激されたトヨタは5月に登場した3代目プリウスの価格を、車格や燃費・装備内容を考えると激安と言わざるを得ない205万円からとし、発売1か月で約18万台を受注。
3代目プリウスが爆発的なヒット車となったのと対照的に2代目インサイトの販売台数は減少し続け、2011年10月のマイナーチェンジでは1.5Lガソリンエンジン+ホンダIMAを搭載する上級グレードを追加するなどテコ入れをおこなったものの、2014年3月にまた姿を消した。
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